1.1 「マクロ経済スライド」による調整が3年度連続で発動
2025年度の年金額改定時に用いた物価変動率は2.7%、名目手取り賃金変動率は2.3%となりました。
しかし、マクロ経済スライドの発動により、2025年度の年金改定率は1.9%にとどまりました。このような状況の中、年金だけで老後の生活を維持することが難しくなっている世帯も少なくありません。
公的年金はシニアの主な収入源となりますが、現代シニアは年金以外にどのような生活資金源を想定しているのでしょうか。次章で見ていきます。
2. 60歳代の〈老後における生活資金源〉79.8%が「公的年金」と回答
J-FREC 金融経済教育推進機構の調査によると、60歳代の79.8%が老後の生活費を「公的年金」でまかなおうと考えている、または実際にまかなっていると回答しました。
- 就業による収入:41.6%
- 公的年金:79.8%
- 企業年金、個人年金、保険金:37.5%
- 金融資産の取り崩し:31.2%
- 利子配当所得:12.2%
- 不動産収入(家賃、地代等):4.2%
- こどもなどからの援助:1.0%
- 国や市町村などからの公的援助:3.3%
- その他:5.2%
このほか「金融資産の取り崩し」が31.2%、「企業年金、個人年金、保険金」と回答した人が37.5%となっています。
収入が限られるシニアにとって、公的年金だけで生活費が不足する際には、貯蓄を取り崩す場面も出てくるでしょう。
では、実際に現在のシニア世代はどの程度の貯蓄を持っているのでしょうか。次の章で詳しく見ていきます。