2.1 老後の収入などにより必要な貯蓄額は異なる
老後2000万円問題とは、総務省の「家計調査報告(2017年)」の調査結果を基にした試算結果が一部で誤解されて問題視されたものです。
高齢夫婦無職世帯平均的な家計収支を基に計算したもので、老後の収入や支出によって本当の必要貯蓄額は世帯によって大きく異なります。
たとえば、毎月の生活費が40万円の世帯でも、年金などの収入が40万円あれば貯蓄がなくても生活できることになります。
また、生活費を20万円に抑えても収入が年金10万円だけならば、毎月10万円の赤字をカバーできる貯蓄が必要です。
大切なのは、老後資金として自分にはいくらの貯蓄が必要かを最初に確認することです。
収入は年金の見込額(ねんきん定期便などで確認)や何歳まで働くかで試算します。
支出は現在の支出状況などから推測できるでしょう。老後の収支の赤字分を補えるだけの金額が、必要な貯蓄額(最低限の貯蓄目標)です。
3. 資産形成は早期に資産運用を始めるのが効果的
効果的に資産形成するポイントは、早期に貯蓄を始めることと運用利回りを高めることです。
複利5%、毎月1万円の貯金を40歳または50歳で始めたとき、60歳時点の利息は次の通りです。
- 50歳貯金開始:利息33万9828円
- 40歳貯金開始:利息156万1988円
50歳貯金開始では40歳開始に比べて掛金の累計が2倍ですが、利息は5倍近くになります。
早期に貯蓄を始めて運用期間を長くすることで、大きな複利効果が期待できます。
ただし、現在年利5%の定期積立商品はありません。多少のリスクがあっても投資信託などを活用して一定の利回りを確保することで効果的な運用ができます。長期で分散投資することで運用リスクを低減できます。