2.1 マクロ経済スライドは早期終了を見込んでいる
マクロ経済スライドは、当初2057年ごろの完全終了を見込んでいました。しかし、最新の年金財政検証によれば、経済成長が今後も現在のようなペースの場合、調整終了後の年金の所得代替率(現役時代の手取り収入に対する年金受給額の割合)は50.4%だと公表されました。年金は手取り収入の半分をなんとか保障するような状況です。
こうした状況から、国はマクロ経済スライドを2036年に終了し、年金水準を引き上げようと検討しています。国の試算では、マクロ経済スライドを早期終了すれば99.9%の人の年金水準がアップする見通しで、大きな目減りを回避できるという点では得策です。
しかし、マクロ経済スライドは元々現役世代の負担を軽減するために導入されました。もし仮に2036年にマクロ経済スライドが終了すれば、社会保険料の負担が増える可能性は高いでしょう。手取り収入が減れば実質賃金は伸び悩みます。結果的に、現役世代が受給する年金額にも影響を与えかねないのです。
次章では、年金の平均受給月額を紹介します。