2024年11月22日、政府は住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり3万円を支給する経済対策を閣議決定しました。
さらに、2025年1月〜3月の電気・ガス料金の負担を軽減する支援策も実施されます。
物価の上昇が続くなか、こうした給付金や支援策は家計にとって貴重なサポートになりますが、「自分が対象になるのか?」と気になる人も多いでしょう。
そこで今回は住民税非課税世帯の支援策について、対象となる年収の目安や年代別のデータを交えて詳しく解説します。
支援をしっかり活用するために、今すぐチェックしておきましょう。
1. 止まらぬ物価高騰が「みんなの家計を圧迫」
カレーライス物価を構成する費用の内訳1/9
出所:株式会社帝国データバンク「カレーライス物価指数」調査―2024年12月分カレーライス物価、1食386円 9カ月連続で最高値 5年間で4割高、食卓で記録的な物価高続く 野菜類の値上がりが影響(PR TIMES)
2025年2月10日、帝国データバンクは2024年12月の「カレーライス物価(※)」を公表。これによると、カレーライス物価は前年同月比で67円上昇し、1食あたり386円に。9カ月連続で過去最高を記録しました。
「カレーライス物価」と「指数」伸び率(全国平均)2/9
出所:株式会社帝国データバンク「カレーライス物価指数」調査―2024年12月分カレーライス物価、1食386円 9カ月連続で最高値 5年間で4割高、食卓で記録的な物価高続く 野菜類の値上がりが影響(PR TIMES)
また、2020年平均を100とした「カレーライス物価指数(※)」の推移からは、カレーライス物価は5年間で4割を超える記録的な物価高が反映されたことが報告されています。
※カレーライス物価:カレーライスで使用する原材料や、調理にかかる水道光熱費などを独自に試算した指数
※カレーライス物価指数:各月のカレーライス物価を基に、2020年平均=100とした価格推移
引用:帝国データバンク「カレーライス物価指数」調査―2024年12月分なお、カレーライス物価、カレーライス物価指数は、いずれも帝国データバンクの独自試算による指数です。
食料品をはじめとする生活必需品の価格高騰は、多くの世帯の家計を圧迫し続けています。
2024年12月に成立した「2024年度補正予算」でも、物価高騰対策として「住民税非課税世帯を対象とする給付金」の支給が盛り込まれています。その概要を整理してみましょう。
2. 【物価高騰対策】住民税非課税世帯対象の「3万円給付金」子育て世帯には加算も
今回の給付金は、1世帯あたり3万円が基本の給付額(※1)です。対象世帯のうち「子育て世帯」には、児童(※2)1人あたり2万円が加算となります。
申請方法や給付されるまでのスケジュールは、市区町村ごとに異なります。お住まいの自治体の最新情報を確認しましょう。
※1:給付額の考え方
2人以上の低所得世帯の消費支出の増加幅(食料品、エネルギー価格高騰によるもの)のうち、賃上げや年金物価スライド等で賄いきれない金額として、3万円を支援。子育て世帯については、1人あたりの給付額1.5万円(3万円÷2人)をカバーする水準として、子供1人あたり2万円を加算。
引用:内閣府特命担当大臣「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~政策ファイル(2024年11月)
※2:こども加算分の対象となる児童とは
18歳以下(平成18年4月2日以降生まれ)の児童
基準日時点で別世帯であるが、生計を同一にしている18歳以下(平成18年4月2日以降生まれ)の児童
基準日の翌日以降に生まれた新生児引用:東京都大田区「令和6年度大田区物価高騰重点支援給付金のご案内」
さて、コロナ禍以降、低所得世帯や収入が急変した世帯を対象にした給付金が注目を集めていますが、それ以前にも類似の給付金の支給が実施されていました。
こうした公的支援の対象としてしばしば挙がる「住民税非課税世帯」という区分について、次で整理していきましょう。
3. 住民税非課税世帯に該当するケースとは?【所得・収入の目安】
「住民税非課税世帯」とは、所得に関係なく一律で課税される「均等割」と、所得に応じて決まる「所得割」の両方が免除されている世帯を指します。
住民税が非課税となるのは、以下のいずれかに該当する場合です。
- 生活保護を受けている
- 障害者、未成年者、寡婦、ひとり親で、前年の所得が135万円以下
- 前年の所得が各市町村の定める基準を下回る
ただし、最後の所得基準は自治体ごとに異なります。イメージをつかむため、今回は札幌市の例を見ていきましょう。
3.1 住民税非課税世帯に該当する「所得の基準」札幌市を例に
札幌市では前年度の合計所得金額が次の金額以下となる場合に住民税が非課税となります。
- 扶養親族を有さない方:45万円
- 扶養親族を有する方:「35万円×家族数(本人+同一生計配偶者+扶養親族数)+31万円」
「所得」とは収入から経費や各種控除を差し引いた後の金額です。「収入(年収)」に換算したほうがピンとくるかもしれませんね。
非課税限度額は、収入の金額だけではなく、家族構成や収入の種類などにより変わってきます。引き続き札幌市の例を見てみましょう。
4. 【早見表】住民税非課税となる《収入目安》は収入種類で変わる
札幌市の「住民税が非課税となる所得基準」と、それに対応する収入金額について、「扶養親族なし」「扶養親族2名」の場合を比べてみましょう。
住民税非課税となる年収基準は、年齢や収入の種類、扶養親族の人数などによって複雑に変化することが分かります。
扶養親族なし
- 非課税となる合計所得金額:45万円
- 給与収入のみの場合の収入金額:100万円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳未満):105万円
- 公的年金収入のみの場合の収入金額(65歳以上):155万円
例えば、扶養親族がいない場合、給与収入のみであれば年収100万円までが非課税です。一方、公的年金収入のみの場合は、65歳以上では非課税枠が広がり、年収155万円までが非課税となります。
また、扶養親族が2人いる世帯では、給与収入のみの場合、年収205万9999円までが非課税です。公的年金収入のみの場合、65歳未満では218万1円、65歳以上では246万円が非課税の上限となります。
このように、扶養親族の有無や年齢によって、非課税となる年収基準は大きく変わるのです。
5. シニア世帯が「住民税非課税世帯」に該当しやすい理由とは
このように、住民税非課税の基準は、年齢・収入の種類・扶養親族の有無によって大きく異なります。特にシニア層は、年金収入が主な収入源となるため、住民税非課税世帯に該当しやすい傾向があります。
厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」によると、住民税課税世帯の割合は30~50歳代では90%前後でしたが、60歳代78.3% → 70歳代64.1% → 80歳代47.5%と、年代が上がるにつれて低下しています。
これは、年金生活に入ると収入が大幅に減り、住民税非課税の基準である所得45万円を下回るケースが増えるためと考えられます。さらに、遺族年金が非課税であることも、シニア層に住民税非課税世帯が多い要因の一つといえるでしょう。
なお、多くの市区町村では給付金に便乗した「振り込め詐欺」や「個人情報の詐取」などへの注意喚起がなされています。
国や市区町村(の職員)が
- ATMの操作を依頼すること
- 金融機関口座の暗証番号をたずねること
- 給付金支給のために手数料の振込を求めること
は絶対にありません。不審な電話、メール、郵送物、訪問などを受けた場合は、市区町村、最寄りの警察署や警察相談専用電話(#9110)になど連絡しましょう。シニア世代の親御さんがいらっしゃる方は、ぜひ気にかけてあげてくださいね。
6. 給付金を活用しつつ、将来に備える準備を!
今回は、住民税非課税世帯が対象となる給付金について詳しく解説しました。
こうした支援は、家計に大きな助けになりますよね。
ただし、申請の締め切りや条件は自治体ごとに異なるため、「自分も対象かも?」と思ったら早めに確認しておきましょう。
そして、今回は対象外の人も、将来的に住民税非課税世帯に該当する可能性はゼロではありません。
だからこそ、今から資産形成を見直しつつ、健康リスクにも備えておくことが大切です。
特に、もしものときに医療費の負担が増えないよう、医療保険の内容をチェックするのもいいでしょう。
「そのうちやろう…」と後回しにせず、できることから少しずつ備えていきましょう!
※金額や要件などは自治体等によって異なるので、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。
7. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
「年金って難しそう…」と感じている人は、多いのではないでしょうか。でも、基本のポイントを押さえると、意外とシンプルなのです。ここでは、年金についてよくある疑問について、わかりやすくお答えしていきます。
7.1 年金の仕組みってどうなってるの?
まず、日本の公的年金は「2階建て」構造です。下の階が「国民年金」、その上に「厚生年金」があるイメージです。
国民年金
国民年金は、20歳から60歳未満の全員が加入対象。特に自営業やフリーランスの方がメインです。
毎月決まった金額を支払います。いわば、年金の基礎部分です。
厚生年金
厚生年金は、会社員や公務員の方が加入対象です。こちらは収入に応じて保険料が変わるので、もらえる年金額も収入の影響が大きくなってきます。
そのため、個人差が出やすくなっています。
7.2 「繰下げ受給」って実際どうなの?
通常、年金は65歳からもらうものですが、「まだ働けるし、今すぐ必要じゃない」という方には「繰下げ受給」という選択肢があります。簡単に言うと、年金の受け取りを後回しにして、もらう額を増やす方法です。
たとえば、65歳で受け取る予定を75歳まで繰り下げると、年金額が84%も増えるんです。
もし健康で他にも収入源があるなら、繰下げ受給を検討してみる価値は十分にあるでしょう。
7.3 年金や老後資金をもっと増やすには?
繰下げ受給以外にも、年金や老後資金を増やす手段はいくつかあります。
国民年金の付加保険料を払う
自営業やフリーランスの方は、少し追加で保険料を払うことで、将来もらえる年金額をアップできます。
厚生年金に加入する
もし可能なら、厚生年金に加入するのも手です。もし国民年金だけに加入していた場合、会社員になったり、厚生年金が適用されるような働き方を選ぶと、年金額が増えます。
資産運用に挑戦
iDeCo(個人型確定拠出年金)や投資信託での資産運用も有効です。
ただし、これは場合によっては元本割れのリスクもあるので、まずはしっかり調べてからスタートするのが大事。お金の増やし方も「焦らずじっくり」がポイントです。
これで、年金の仕組みが少しクリアになったでしょうか?
ちょっとずつでも理解を深めていくと、老後への不安が少しずつ減っていきますよ。将来に向けて、一緒に準備を始めていきましょう。