先日、2025年度の年金額が1.9%の増額となることが決定しました。老後を迎えれば受け取れる年金。収入の柱となると予想されますが、月にどのくらい年金を受け取れると安心できるのでしょうか。
老後と今の生活では、生活費にも差が出てきます。しかし、目安を考えておかなければ「こんなはずではなかった」となるリスクもあります。実際、年金だけで生活が成り立つシニア世帯は多いとは言えません。
実は年金だけで100%生活している高齢者世帯は41.7%と、半数を割っているのです。
物価上昇などの影響で、ますます生活が苦しくなるシニアもいるでしょう。
多くの世帯では、年金以外のお金の準備が必要不可欠ということになります。
そこで、本記事では今のシニアのお金事情について「年金額・生活費・貯蓄額」の観点から紐解いていき、老後に向けた準備などについて考察していきます。
1. 【最新】厚生年金と国民年金「2025年度の受給額」は1.9%の引き上げへ
2025年1月24日、厚生労働省より2025年度の年金額が公表されました。これによると、「2025年度の受給額」は1.9%の引き上げとなります。
- 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分※1)
- 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分※)
※1昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額6万9108円(対前年度比+1300円)です。
※2男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。
3年連続の増額改定となり、「なんとなく年金は今後減っていくイメージ」と思っていた現役世代の方は、意外に感じたのではないでしょうか。
しかし、物価上昇率よりも年金上昇率が下回っているため、実質的には減額という見方もあります。
これはマクロ経済スライド(※公的年金被保険者の変動と平均余命の伸びに基づいて、スライド調整率を設定し、その分を賃金と物価の変動がプラスとなる場合に改定率から控除するもの)が発動したためです。
名目手取り賃金変動率が2.7%であるにも関わらず、2025年度の年金額の改定率は1.9%であることから「実質目減り」といえますね。
もう少しくわしく、シニアの年金事情を紐解いていきましょう。