2月14日は2025年はじめての年金支給日でした。老後の大切な収入源となる公的年金ですが、「年金だけではカツカツ」といった声は少なくありません。
実際、元銀行員である筆者は、シニア世代のお客様から、同様の声をたくさん聞いてきました。
年金収入だけで生活費をカバーできない場合、その他の収入や現役時代から準備してきた資産で補填することになりますが、物価高が続く中、老後資金にまで手が回らないという世帯もあるでしょう。
しかし、最低限の老後生活を送る資金は確保しておく必要があります。
では、現シニア世代は貯蓄をいくら保有しているのか。老後の平均的な家計収支や年金額もあわせて、確認していきましょう。
1. 65歳以上・無職二人以上世帯のリアルな貯蓄事情は?
総務省統計局が公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以上の無職二人以上世帯における平均貯蓄額は「2504万円」となりました。
次に、2018年から2023年における「平均貯蓄額の推移」についても確認していきましょう。
1.1 【65歳以上・無職二人以上世帯】平均貯蓄額は近年増加傾向にある
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
65歳以上の無職二人以上世帯における平均貯蓄額は、2020年までは2200万円台で推移していましたが、2021年に2300万円台に増加し、2023年には2500万円を超えました。
現役世代が減少し、年金を受け取るシニア世代が増加したことに伴い、年金財政の不安定化が懸念されています。
そのため、年金に頼るのではなく、老後に向けた貯蓄を増やす傾向が強まったのではないでしょうか。
さらに、最近では銀行預金以外の資産を保有する世帯も増えていることも注目すべき点です。
次に、65歳以上の無職二人以上世帯の保有資産の内訳を確認してみましょう。
1.2 【65歳以上・無職二人以上世帯】保有資産の内訳をチェック
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金:846万円
- 通貨性預貯金:754万円
- 金融機関外:11万円
2023年度の65歳以上・無職二人以上世帯の保有資産合計額2504万円のうち、最も多かったのは「定期性預貯金」で846万円でしたが、前年度と比較して19万円減少しています。
一方で、「有価証券」の割合は480万円にとどまりながらも、前年より80万円の増加が見られます。
これは、近年NISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)などの非課税制度を利用した投資が増えてきているため、投資資産が増加していることが影響していると考えられます。
さらに、2024年1月から新NISAが始まったため、今後も「貯蓄から投資へ」という動きが強化されることが予想されます。
ここまで無職二人以上世帯の貯蓄状況を確認しましたが、65歳以上で働きながら貯蓄をし続けている世帯もあるでしょう。
次に、65歳以上の「勤労世帯を含む」シニア全体の貯蓄額について見ていきます。