新年を迎える前に、冬のボーナスを受け取った人も多いのではないでしょうか。
好きなものを買うのに使ったり、ローンの返済に充てたりと、ボーナスの使い道はさまざまです。一部を貯金するなど、家計にとっても有効に活用したいところです。
冬のボーナスは民間企業だけでなく、公務員にも支給されます。国家公務員には2024年12月10日に支給されたばかりです。
今年の国家公務員の冬ボーナスは、例年とは異なる点が存在します。また、ボーナス額から見えてくる課題も浮き彫りになっています。
この記事では、国家公務員の冬ボーナスの平均額や例年と異なる点、ボーナスから見える国家公務員の課題について解説します。
1. 国家公務員の冬のボーナスの平均は約65万円
人事局が公表した今冬の国家公務員のボーナスの平均は、約65万2800円でした。前年の金額が約67万4300円だったため、約2万1500円、割合にして3.2%が減額されています。
なお、公表されたのは一般職の国家公務員で行政職職員の平均支給額です。特別職は別途支給金額が決められています。
【写真全3枚中1枚目】国家公務員《特別職》冬季賞与支給金額。2枚目では、民間企業の冬のボーナス平均額を確認する!1/3
出所:人事院「令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」をもとに筆者作成
一般職と特別職には大きな差があります。内閣総理大臣と国務大臣は一部金額を返納していますが、それでも300万円台のボーナスが支給されています。
1.1 今冬は追加支給あり
今冬の国家公務員のボーナスは、前年に比べて減額されています。最大の理由は、給与法改正が支給前までに間に合わなかったためです。
国家公務員のボーナス金額は「一般職の職員の給与に関する法律」「特別職の職員の給与に関する法律」によって金額の引き上げ・引き下げが決められます。
2023年は11月14日国会にて法改正が可決されましたが、2024年は自民党総裁選挙や衆議院選挙などが重なり、臨時国会の招集が遅れてしまいました。
そのため、12月12日にようやく衆議院を通過。同17日に参院本会議で可決となっています。
結果、ボーナス支給日までに国会での法改正審議が終わらず、昨年に比べて減額されたボーナスが支給されているのです。
ただし、減額分については改正法が成立したのちに差額を追加支給する予定です。追加支給後のボーナス金額の平均は、昨年に比べて7.1%増加の約72万2000円となります。
では、次章では国家公務員と民間企業のボーナス平均額を比較してみましょう。
2. 国家公務員と民間企業のボーナス平均を比較
一般財団法人労務行政研究所の調査によれば、東証プライム上場企業の2024年の冬ボーナスの平均は以下のとおりです。
- 全産業:83万5133円
- 水産・食品:70万2913円
- 繊維:84万7547円
- 紙・パルプ:71万6667円
- 化学:86万5824円
- ゴム:82万1000円
- ガラス・土石:89万8917円
- 鉄鋼:93万1513円
- 非鉄・金属:77万9495円
- 機械:88万842円
- 電気機器:92万1683円
- 輸送用機器:94万807円
- 自動車:102万9157円
- 精密機器:78万5167円
- その他製造:79万5694円
- 建設:88万844円
- 商業:57万5481円
- 情報・通信:88万3250円
- 電力:83万7833円
- サービス:69万9985円
東証プライム上場企業のボーナスは、ほとんどの業種で国家公務員のボーナスを上回っています。特に自動車製造業に関しては、国家公務員と35万円ほどの差があります。
もちろん、東証スタンダードやプライム上場企業、非上場企業なども含めると、平均額は数万円ほど下がるでしょう。
国家公務員の給与・賞与額は、人事院の「民間企業の給与水準と均衡させる」という勧告のもと、法律で定められます。ボーナス金額は民間企業の水準に近いものだといえるでしょう。
では、次章では賞与・給与から見る国家公務員の課題について解説します。
3. 賞与・給与から見える国家公務員の処遇課題
今年は給与法の改正が間に合わなかったことでボーナスが減額となりましたが、追加支給により例年を上回る水準の金額が支給されます。
また、国家公務員の平均給与は2023年が41万2747円、2024年は41万4801円と、わずかではありますが増加しています。
収入が安定して増加しているにもかかわらず、今年の国家公務員受験者は減少傾向です。大卒程度の一般職の申込者は2万4240人で、前年度に比べ2079人減少しました。
また、専門職は2万1693人で、2933人減少しました。過去12年間においても、2016年から申込者数は減少し続けています。
これは、国家公務員の労働環境に課題があることが考えられます。人事院の「令和5年度 年次報告書」によれば、月45時間・年360時間の超過勤務上限を超えて働いた職員は、全体の16.0%です。
各省庁などの本府省に限定すれば、28.5%と約3割が超過勤務上限を超えて働いています。
また、2023年3月に人事院が公表した国会対応業務に関するアンケートでは、2021年度時点で、31の府省が超過勤務の状況は前年度と変わっていないと回答しています。
主な要因としては「質問通告の遅さ」「答弁案のすり合わせ」「答弁の作成」などが挙げられます。国家公務員の国会対応業務は、非常に厳しい状況下で行われているのです。
給与・賞与のアップに加えて、労働環境や国会対応の見直しなどの処遇改善は早急に対処すべき課題といえるでしょう。
4. まとめ
国家公務員の冬のボーナスは約65万円でした。今年は増額分が追加支給されるため、支給後の金額は約72万円となります。民間企業と比べてもほぼ同水準といえるでしょう。今後も継続的な賃金上昇が期待されます。
一方で、労働環境については課題が山積しています。国家公務員は全体の奉仕者という立場にあたりますが、勤労者でもあります。早急な処遇改善が求められるでしょう。
参考資料
- 人事院「令和6年12月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」
- 衆議院「議事経過 第212回国会(令和5年11月14日)」
- 衆議院「議事経過 第216回国会(令和6年12月12日)」
- 一般財団法人労務行政研究所「東証プライム上場企業の2024年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」
- 人事院「令和5年国家公務員給与等実態調査報告書」
- 人事院「令和6年国家公務員給与等実態調査報告書」
- 人事院「2024年度国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)及び専門職試験(大卒程度試験)の申込状況」
- 自由民主党「[国家公務員給与法]公務員全体の処遇改善が必要」
- 人事院「国会対応業務に係る各府省の実態について (全府省(44府省等)に対するアンケート(令和4年11月~令和5年1月実施)の結果)」
石上 ユウキ