2026年度の基礎年金は、満額で月額7万608円に改定される予定です。伸び率は1.9%と、物価上昇率3.2%には追いついていません。
一方、あわせて改定される年金生活者支援給付金は、物価上昇率にならって改定される仕組みになっており、2026年度は今年度から支給額が3.2%増加する見込みです。
年金生活者支援給付金は所得の少ない年金世帯にとって有用な給付制度ですが、月にいくらの年金を受け取る人が対象なのでしょうか。この記事では、年金生活者支援給付金の支給対象となる収入条件などを解説します。
1. 年金生活者支援給付金とは?2026年度の支給基準額を確認
年金生活者支援給付金とは、所得の少ない年金世帯の生活を支援するために支給される給付金です。2019年の消費税引き上げの際に、引き上げ分を財源としてスタートした制度です。
給付金の種類は、年金と同じく老齢・障害・遺族の3つです。現行の支給基準額と、2026年度の支給基準額を見てみましょう。
1.1 老齢年金生活者支援給付金基準額
- 2025年度:5450円
- 2026年度:5620円(前年比+170円)
1.2 障害年金生活者支援給付金基準額
- 2025年度
・1級:6813円
・2級:5450円 - 2026年度
・1級:7025円(前年比+212円)
・2級:5620円(前年比+170円)
1.3 遺族年金生活者支援給付金基準額
- 2025年度:5450円
- 2026年度:5620円(前年比+170円)
現在の基準額は5450円、2026年度の基準額は170円増の5620円です。
老齢年金生活者支援給付金は、基準額をもとに年金保険料の納付期間や免除期間などが考慮されて金額が決まります。また、障害年金生活者支援給付金の障害等級1級は、障害年金と同様に1.25倍の金額が支給されます。年間約6万5000円ほどの金額が受け取れるため、年金受給額の少ない世帯にとっては貴重な給付金といえるでしょう。
給付金は、年金に上乗せされる形で支給されます。年金は毎年偶数月に支給されるため、年金生活者支援給付金も偶数月に前2ヵ月分をまとめて受け取ります。1回の支給で、約1万円の金額が上乗せされる形です。
次章では、年金月額いくらの人が給付金の対象なのか確かめます。
2. 年金月額いくらの人が給付金の対象?
年金生活者支援給付金を受け取るには、以下の要件を満たす必要があります。
年金生活者支援給付金の受給対象者2/7
出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」、日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」、日本年金機構「遺族年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成
2.1 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金
- 以下を満たす場合に対象となる。
・65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
・世帯全員が市町村民税非課税である。
・前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下(※2)である。
2.2 障害年金生活者支援給付金
- 以下を満たす場合に対象となる。
・障害基礎年金の受給者である。
・前年の所得(※1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(※3)」以下である。
2.3 遺族年金生活者支援給付金
- 以下を満たす場合に対象となる。
・遺族基礎年金の受給者である。
・前年の所得(※1)が「479万4000円+扶養親族の数×38万円(※3)」以下である。
※1障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く。
※2昭和31年4月2日以後生まれで80万9000円を超え90万9000円以下の人や昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下の人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される。
※3同一生計配偶者のうち70歳以上の人または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族の場合は63万円となる。
老齢年金生活者支援給付金は「公的年金の収入+その他所得が80万9000円以下または80万6700円以下」の場合に支給されます。一方、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は「所得が479万4000円+扶養親族の数×38万円」の場合に支給されます。
つまり、老齢年金生活者支援給付金は年金月額約6万7000円以下の場合に給付金が支給され、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金は年金支給額にかかわらず支給対象になるのです。
このほか「基礎年金を受給していること」が要件となっています。また、老齢年金生活者支援給付金のみ「住民税非課税世帯であること」が要件です。本人が住民税非課税でも、世帯のなかに住民税が課税されている人がいる場合、老齢年金生活者支援給付金は受け取れません。
では、年金生活者支援給付金は、実際にどれくらいの金額が支給されているのでしょうか。次章で平均支給額を見ていきましょう。
3. 年金生活者支援給付金の平均支給額はいくら?
厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によれば、年金生活者支援給付金の平均支給額は以下のとおりです。
- 老齢年金生活者支援給付金:4146円
- 補足的老齢年金生活者支援給付金:2177円
- 障害年金生活者支援給付金:5727円
- 遺族年金生活者支援給付金:5228円
老齢年金生活者支援給付金は月あたり4000円台、障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金は月あたり5000円台の金額が支給されています。
老齢年金生活者支援給付金は、20歳から60歳までの40年間満額で保険料を納めなければ、基準額には到達しません。未納期間があれば支給金額も少なくなるため、ほかの給付金よりも平均が低くなっていると考えられます。
とはいえ、月あたり4000〜5000円台の金額が年金に上乗せされるのは、所得の少ない年金世帯にとっては貴重であり、受給しない手はありません。次章では、給付金の受け取り方について解説します。
4. 年金生活者支援給付金の申請の仕方
年金生活者支援給付金を受け取るには、申請手続きが必要です。書類は、給付対象となる人に日本年金機構から届く仕組みになっているため、基本的にこちらで請求する必要はありません(※)。
申請は「すでに年金を受け取っている人」と「これから年金を受け取る人」で、届く書類が異なります。それぞれの申請手順は以下のとおりです。
※障害年金・遺族年金の場合は、基礎年金の新規申請時に申請が必要です。
- 日本年金機構から、はがきの年金生活者支援給付金請求書が届く
- 書類の太枠内を記入する
- 切手を貼ってポストに投函する
- 65歳になる3ヵ月前に、日本年金機構からの老齢基礎年金の新規裁定手続きの案内に「年金生活者支援給付金の請求書」が同封されて送られてくる
- 両方の書類の必要事項を記入する
- 受給開始年齢の誕生日の前日以降に、年金の請求書と一緒に年金事務所へ提出する
書類が届いた時点ですぐに必要事項を記入し、忘れずに提出・返送しましょう。
5. まとめ
老齢年金生活者支援給付金は、年金月額約6万7000円以下で、住民税非課税世帯の場合に対象になります。一方、障害年金生活者支援給付金や遺族年金生活者支援給付金は、年金受給額にかかわらず、所得が「479万4000円+扶養親族の数×38万円」であれば支給対象です。
給付金を受け取るには、申請が必要です。手続き自体は簡単なため、すぐに済ませて給付金を受け取り、家計管理に役立ててください。





