「老後資金2000万円問題」が話題になりました。その後の物価高騰により、老後に必要な資金は2000万円ではなく4000万円に達するのではないかとも言われています。
しかし、現実的に4000万円もの貯蓄を確保できている世帯はどのくらいあるのでしょうか。
今回は、65歳以上の世帯における「貯蓄4000万円以上」の割合や、広がる貯蓄格差の実態、さらに家計を圧迫する食費や光熱費の影響について詳しく見ていきます。
1. 貯蓄4000万円以上の世帯はどのくらいある?
世帯主が65歳以上の二人以上世帯の貯蓄高のうち、4000万円以上の貯蓄高のある世帯の割合はどのくらいでしょうか。2023年の総務省統計局の家計調査「家計調査 貯蓄・負債編」のデータでみてみましょう。
1.1 世帯主が65歳以上の世帯の貯蓄現在高の分布
- ~100万円未満:10.0%
- 100万円~:5.5%
- 200万円~:4.9%
- 300万円~:5.4%
- 400万円~:4.3%
- 500万円~:4.9%
- 600万円~:3.6%
- 700万円~:3.4%
- 800万円~:3.1%
- 900万円~:3.0%
- 1000万円~:6.0%
- 1200万円~:4.3%
- 1400万円~:4.1%
- 1600万円~:3.5%
- 1800万円~:2.9%
- 2000万円~:6.3%
- 2500万円~:5.2%
- 3000万円~:6.7%
- 4000万円~:12.9%
ちなみに、貯蓄保有世帯の中央値は1107万円、平均値1904万円となっています。
「中央値」とは、貯蓄保有世帯のうち、貯蓄「ゼロ」世帯を除いた世帯を貯蓄現在高の低い方から順番に並べ、ちょうど中央に位置する世帯の値をいいます。「平均値」とは、全世帯の貯蓄の合計額を、世帯数で割った値のことです。
もし、貯蓄額がけた外れに高い世帯が1世帯あれば、平均値が高くなります。しかし、中央値は、全体の真ん中の値なので、実態により近い数値として捉えることができます。
上記より、世帯主が65歳以上の世帯での貯蓄高において、4000万円以上を有する世帯は全体の12.9%。約7~8世帯に1世帯の割合です。
一方で、貯蓄100万円以下の割合は10.0%。貯蓄4000万円以上の世帯である12.98%に近い割合を占めています。
このことより、貯蓄が十分にできている世帯もあれば、貯蓄ができていない世帯もあり、貯蓄額に大きな差があることが分かります。では、なぜこれほど貯蓄額に差が出るのでしょうか?