3. 労働・雇用に関する給付金

労働・雇用に関する給付金としては、以下の2つをおさえておきましょう。

  • 基本手当・再就職手当
  • 高年齢雇用継続給付

3.1 基本手当・再就職手当

基本手当は雇用保険の「失業給付」とも呼ばれる給付です。離職前2年間で12ヵ月以上雇用保険の被保険者期間がある人が離職し、ハローワークで失業認定を受けた場合に支給されます。

給付される「基本手当日額」は離職前の賃金日額に基づき決定されます。下限は2295円、上限は年齢によって異なり最大で8635円です。

《離職時の年齢区分別》賃金日額・基本手当日額の上限額

《離職時の年齢区分別》賃金日額・基本手当日額の上限額

出所:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~」

基本手当の申請は手順が多く、時間がかかります。手順は以下のとおりです。

  1. 退職した会社から「離職票」を受け取る
  2. 離職票と本人確認書類や顔写真、預金通帳またはキャッシュカードを持ってハローワークへ行く
  3. ハローワークで受給資格が決定したら、7日間の待機期間を過ごす(自己都合退職は7日間の待機満了の翌日からさらに2ヵ月間、過去5年で2回以上自己都合退職している場合や懲戒解雇の場合は3ヵ月間給付制限が課される)
  4. 失業認定を受ける(原則4週間に1回認定を受け、都度受給資格者証と失業認定申告書の提出が必要になる)

提出する書類は多いですが、失業中の貴重な収入源になるため、ぜひ申請しておきましょう。

再就職手当は、基本手当の受給資格決定後に再就職した場合に受け取れる手当です。支給金額は以下のとおりです。

  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上:所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額
  • 基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上:所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額

再就職が決まった場合は、再就職の翌日から1ヵ月以内に支給申請書を提出しましょう。

3.2 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、以下の2つの給付金を指します。

【高年齢雇用継続基本給付金】

  • 基本手当を受給していない人を対象とする給付金。
  • 原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金が60歳時点の75%未満となっている人で、以下の2つの要件を満たした人が対象。
    ・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
    ・被保険者であった期間(※)が5年以上あること。

【高年齢再就職給付金】

  • 基本手当を受給し再就職した人を対象とする給付金。
  • 基本手当を受給した後、60歳以後に再就職して、再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった人で、以下の5つの要件を満たした人が対象。
    ・60歳以上65歳未満の一般被保険者であること。
    ・基本手当についての算定基礎期間が5年以上あること。
    ・再就職した日の前日における基本手当の支給残日数が100日以上あること。
    ・1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に就いたこと。
    ・同一の就職について、再就職手当の支給を受けていないこと。

支給される金額は、賃金の最大15%で、60歳時点の賃金額の低下率によって異なります。

高年齢再就職給付金:賃金の低下率ごとの支給率

高年齢再就職給付金:賃金の低下率ごとの支給率

出所:厚生労働省「Q&A~高年齢雇用継続給付~」

申請は事業主が行うことが多いです。ただし、希望すれば自身でも申請できます。申請時はハローワークに以下の書類を提出します。

【初回の申請に必要な書類】

  • 雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書
  • 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書
  • 被保険者が雇用されていることの事実、賃金の支払状況及び賃金の額を証明することのできる書類
  • 被保険者の年齢が確認できる官公署から発行・発給された身分証明書などの書類

【2回目以降の申請に必要な書類】

  • 高年齢雇用継続給付支給申請書(受給資格確認や前回の支給申請手続後にハローワークから交付)
  • 賃金台帳、出勤簿又はタイムカード