4.2 【背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大

将来への投資

将来への投資

出所:takasu/shutterstock.com

また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。

NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。

10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。

10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。

先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。

4.3 【背景3】相続や贈与によるもの

富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。

高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。

一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。

こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。

なかには、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。

5. まとめにかえて

今回は、証券会社の元富裕層担当社員であった筆者の経験をもとに「投資先の価格が下がったとき」お金持ちはどのような行動をするのか3つご紹介しました。

お金持ちの方は投資先の価格が下がることをネガティブに捉えるとは限らず、「下がったらもっと買うと事前に決めている」「自分のリスク許容度を把握して、いくらになったら売ると決めている」「将来性を見越して買っているから、一時的に下がっても保有し続ける」という方が多い傾向にあります。

事前に投資先の特徴についてしっかり把握してから資産運用に着手しているだけなく、リターンが期待できるぶん価格変動リスクが伴うことを理解されているからだろうと思います。

これから資産運用を検討される方や、すでに資産運用をはじめていて価格が下がったときの行動に悩んでいる方がいらっしゃいましたら、今回ご紹介した「投資先の価格が下がったときのお金持ちの行動の特徴」をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

安達 さやか