筆者は仕事柄、さまざまな世代の家計を拝見しますが、50歳代や60歳代は、昇進などによる収入の増加に加え、教育費の減少、子どもの独立、住宅ローンの終了などで、生活にゆとりを感じる方が増えてくる時期です。

とくに60歳代は50歳代で蓄えた資産のほか、世帯によっては退職金も支給されます。特別な運用をしなくても資産が増えていき、リタイア前後に貯蓄額がピークを迎える世帯も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、リタイア前後にあたる60歳代の貯蓄額についてみていきます。とくに貯蓄3000万円超世帯の割合や平均値・中央値を確認し、3000万円を貯める方法についてもご紹介します。

1. 【60歳代・二人以上世帯】貯蓄3000万円以上の割合は20.5%

それでは、リタイア前後の世代である60歳代世帯のうち、3000万円以上の資産を保有している割合を確認してみましょう。

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査(二人以上世帯)」より、まずは60歳代の二人以上世帯についてみていきます。

60歳代の二人以上世帯で、貯蓄3000万円以上を保有している割合は全体の20.5%で、およそ5世帯に1世帯にあたります。全体の数字を詳しくみていきましょう。

平均値:2026万円
中央値:700万円

  • 金融資産非保有:21.0%
  • 100万円未満:5.9%
  • 100~200万円未満:4.5%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:3.0%
  • 400~500万円未満:1.9%
  • 500~700万円未満:7.2%
  • 700~1000万円未満:6.7%
  • 1000~1500万円未満:6.8%
  • 1500~2000万円未満:5.4%
  • 2000~3000万円未満:9.5%
  • 3000万円以上:20.5%

60歳代の二人以上世帯の平均金融資産保有額は2026万円ですから(※同資料より)、3000万円以上保有している世帯は平均よりも1000万円多く資産を保有している世帯になります。

一方、中央値は700万円となっています。全体の半数以下の世帯の貯蓄額は700万円以下であることを示しています。