3. 年収の壁を超えて働くメリットはある?
年収の壁を超えて働くと、各ボーダーラインごとに税金や社会保険料の負担が増えるため、「年収の壁を超える前のほうが手取り額が多かった」と感じる場合も少なくありません。
では、年収の壁を超えて働くことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。
メリットの一つとして、「社会保険の恩恵を受けられる」ことがあります。
たとえば、社会保険に加入すると、病気や出産などの際に手当金が支給されるため、緊急時に収入を確保しやすくなります。
また、厚生年金保険に加入することで、老後の年金額が増えるため、将来の備えにもなります。
さらに、年収の壁を気にせず働くことで、収入を増やしやすくなり、世帯年収の向上も期待できるでしょう。
このように、「年収の壁を超えて働くこと」はデメリットだけでなく、家計のセーフティーネットになるといった大きなメリットもあると言えます。
4. 「年収の壁」は今後どう変わる?年末に方向性が決定予定
本記事では、「年収の壁」の概要と、各ボーダーラインごとにどのような影響があるのかについて詳しく解説していきました。
「年収の壁」は、扶養内で働く人にとって重要な課題ですが、年収を超えて働くということはデメリットだけではありません。
年収の壁を超えて働くことで、税金や社会保険料の負担が増える一方、傷病手当金や出産手当金が支給されたり、年金額が増額したりなど、社会保険の恩恵を受けられます。
「どのくらいまで働くのがベストか」を考える際には、自分のライフスタイルや将来設計に合わせて、最適な年収ラインを見極めることが重要です。
なお、政府は現在「年収の壁」の見直しを行っており、具体的な方針は社会保障審議会年金部会で議論中とのこと。
福岡大臣は会見で、「年末に次期年金制度改革の方向性をまとめる予定で、関係者の意見を取り入れながら丁寧に進めていきたい」と公表しており、今後どのように年収の壁が見直されるのか注目が集まっています。
参考資料
- 厚生労働省「『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大 特設サイト」
- 日本年金機構「パート・アルバイトのみなさまへ 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさまへ」
- 内閣府「改革工程表2023や骨太の方針2024 に関する主な取組について (社会保障分野1)」
- 厚生労働省「福岡大臣会見概要」
和田 直子