4. 政府が進める「年収の壁」対策とは

政府は年収の壁問題に対し、「年収の壁・支援強化パッケージ」を進めています。

短時間労働者が年収の壁を意識せず働ける環境づくりを支援するため、助成金を支給したり、被扶養のままとどまれるようにしたりする取り組みが行われています。

106万円の壁・130万円の壁への対応策

106万円の壁・130万円の壁への対応策

出所:厚生労働省「年収の壁・支援強化パッケージ」

4.1 「106万円の壁」の対応

  • 手取り収入を減らさない取り組みを行う企業に対し、労働者一人当たり最大50万円を支給します。

4.2 「130万円の壁」への対応

  • 収入が一時的に上がっても、事業所の証明により引き続き被扶養者認定が可能となるよう配慮します。

とはいえ、年金制度の改革などにより、扶養内で働く方の環境は大きく変わりつつあります。

最低賃金の引き上げに伴い、短時間労働者が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりが進められており、政府も支援策を強化しています。

最低賃金の改定を機に、社会保険に加入するメリットを今一度考えてみることをおすすめします。

社会保険加入のメリットを理解し、適切な選択をしていくとよいでしょう。

5. まとめにかえて(FPのアドバイス)

今回は最低賃金の引き上げについて解説をしていきました。

お住まいの地域によって最低賃金は異なるため、1000円を超える地域もあれば900円代の地域も存在します。
まずは、お住まいの都道府県の最低賃金を確認し、勤務先の時給が最低賃金を下回っていないかも念のため確認をしましょう。

今回ご自身の時給がアップし、かつ、扶養内で働いている場合は、先程も取り上げた「年収の壁」問題にぶつかってしまう可能性があるでしょう。

上限額を超え扶養を外れてしまうと、本人の税金・社会保険料などの負担する金額が増え手取りの金額が減ってしまう可能性があります。
また、配偶者にも影響してしまう点にも注意が必要です。

昨今の物価上昇により、生活が厳しくなった世帯が多い中での手取り額減少はさらなる追い打ちとも言えますが、多くのメリットも存在します。

それは上限額を気にする必要がないため、勤務時間を考えずに働くことができます。
その他にも、収入が増えると社会保険に加入しなければならなくなりますが、年金・医療などの保障が手厚くなるメリットがあります。

社会保険への加入をメリットと感じる世帯もあれば、デメリットと感じる世帯もあるでしょう。2024年10月より、社会保険の適用対象が拡大されることによって加入条件も変わっていきます。

メリットやデメリットをおさえて、今後のライフプランを検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

長井 祐人