物価高に伴い、生活に支障が出る住民税非課税世帯への支援策のひとつとして、3万円の給付が決定しました。
岸田総理は6月21日の記者会見において、秋に「年金(生活)世帯や低所得者世帯に追加の給付金を支給する」と述べていましが、自民党総裁選挙や衆議院議員総選挙の実施を受けて、実際の支給は2025年に持ち越しとなります。
しかし、自治体によっては1月に支給をスタートするよう準備を進めているところもあるようです。
また、3万円に加えて「子ども1人あたり2万円」が上乗せされることも決まっています。
では、対象となる「住民税非課税世帯」にはどのような人が該当するのでしょうか。ひとり親における要件も見ていきます。
1. 低所得者世帯に「3万円+子ども1人あたり2万円」の給付が実施
政府が公表した経済対策のなかでも注目を集めているのが、低所得者世帯への給付金です。
1.1 低所得者世帯への給付内容
- 住民税非課税世帯に一世帯あたり3万円を給付
- 子ども一人あたり2万円を追加給付
給付金の対象となる「低所得者世帯」とは、住民税非課税世帯を指します。
実際の支給は自治体によって行われるため、スケジュールは居住地によって異なります。
詳細は未定とする自治体がほとんどですが、中には1月から支給をスタートすると公表している自治体もあるようです。
次章では、「住民税非課税世帯」に該当するひとり親世帯の年収目安について見ていきましょう。
2. ひとり親が「住民税非課税世帯」に該当する年収目安
住民税は市町村民税と道府県民税からなります(東京23区では特別区民税と都民税)。
金額は均等割と所得割の合計となり、所得割は前年の所得をもとに決定されます。
この所得が一定以下の場合は非課税となり、住民税を支払う必要がありません。
ひとり親の場合の所得基準は以下のとおりです。
2.1 ひとり親が「住民税非課税世帯」に該当する条件(東京都23区の場合)
- その年の1月1日現在で、生活保護法による生活扶助を受けている方
- ひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
生活保護を受給中の方は、必然的に住民税非課税世帯に該当します。
給与収入を得ている人は、204万4000円未満がひとつの目安となるでしょう。
ただし、扶養人数によって変わるため、子どもが多い世帯では年収目安額があがります。
※自治体によって異なります。
なお、住民税がかからない所得として次のようなものがあげられます。
- 障害年金
- 遺族が受ける恩給や年金
- 雇用保険の失業給付金
- 生活保護のための給付
- 通勤手当(月額15万円まで)
- 相続、贈与などによって得た資産(相続税や贈与税の対象)
- 児童手当、児童扶養手当
- 宝くじなどの当せん金品(クイズの賞金や懸賞金などは課税対象)
- 健康保険の保険給付金
- 育児休業手当金
次章では、年代別の住民税課税世帯の割合を確認していきます。
3. 年代別「住民税課税世帯」の割合を「30歳代~80歳代」で比較
厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」より、年代別の住民税課税世帯の割合を見ていきます。
- 30歳代:88.0%
- 40歳代:90.0%
- 50歳代:86.4%
- 60歳代:78.3%
- 70歳代:64.1%
- 80歳代:47.5%
- 65歳以上(再掲):61.9%
- 75歳以上(再掲):50.9%
住民税が課税されているという世帯は、年代があがるにつれて減少傾向にあります。その分、非課税世帯が増えていくといえるでしょう(課税世帯以外の割合には、不明世帯も含まれます)。
ひとり親世帯以外における、住民税非課税世帯に該当する年収目安は「約100万円」です。
ひとり親世帯の目安年収は「約204万4000円未満」だったので、非課税世帯に該当しやすいといえるでしょう。
年代別の割合を見ると、さらに高齢者の方が多いとうかがえます。年金世帯の場合の目安年収は「65歳以上は155万円以下・65歳未満は105万円」であることから、現役世代より該当しやすいとわかります。
そもそも収入も減ることや、遺族年金や障害年金が非課税であることも要因のひとつでしょう。
なお、住民税非課税世帯の判定には資産の有無が問われません。最後に、年代別の貯蓄額を見ていきましょう。
4. 【20歳代~70歳代】みんなの貯蓄額はいくら?
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」をもとに、年代別の貯蓄額を見ていきます。
4.1 「2人以上世帯」年代別貯蓄中央値の一覧
- 20歳代:平均値249万円・中央値30万円
- 30歳代:平均値601万円・中央値150万円
- 40歳代:平均値889万円・中央値220万円
- 50歳代:平均値1147万円・中央値300万円
- 60歳代:平均値2026万円・中央値700万円
- 70歳代:平均値1757万円・中央値700万円
基本的に、年代を重ねるごとに平均貯蓄額はあがっていきます。ただし、平均ほどには中央値がのびていきません。
貯蓄ゼロという世帯の割合は以下のとおりです。
4.2 「2人以上世帯」年代別貯蓄ゼロ割合の一覧
- 20歳代:36.8%
- 30歳代:28.4%
- 40歳代:26.8%
- 50歳代:27.4%
- 60歳代:21.0%
- 70歳代:19.2%
貯蓄がないという世帯は、どの年代でも一定割合います。住民税非課税世帯に該当し、さらに金融資産が少ないという世帯にとっては、今回の給付が心強いものになるでしょう。
5. FPが考える「個人での資産形成」
不定期に行われる給付金は生活の助けとなりますが、これだけを生活の柱とすることはできません。個人での資産形成も重要になります。
方法は様々ありますが、「銀行預金」が順調に進んでいる場合は「資産運用」を取り入れてみるのも選択肢のひとつです。
特にNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった国の制度も最近では整ってきていますので、一昔前と比べると投資初心者であっても比較的容易に始めることができるようになりました。
しかし、資産運用は預金とは異なり、基本的には元本の保証がありません。つまり、損をしてしまう可能性がありますので、リスクや注意点についてきちんと理解しておく必要があります。
リスクを抑えるためにさまざまな方法がありますが、「分散」は比較的誰でも取り入れることができる手法です。分散には時間分散、資産分散、地域分散などありますが、最も大切なのは「資産分散」でしょう。
資産分散とは、一つの商品だけに投資をしないということです。世の中には株式や投資信託、債券といったさまざまな金融商品があり、それぞれリスク・リターン度合いが異なります。
それぞれに分散投資をすることでリターンを比較的平準化させることができ、ばらつきを抑えられる効果があります。
このように資産運用にはさまざまな方法があり、何を選ぶか、どのように活用するかは十人十色です。だからこそ誰かの真似をするのではなく自分自身でしっかり考え、うまく活用していきましょう。
6. まとめにかえて
低所得者世帯への3万円給付が決定され、自治体によって支給の準備が進められています。
中には申請が必要なケースもあるので、情報はしっかり収集しましょう。
個人でできる資産形成も、それぞれが進めていく必要があるでしょう。
※住民税非課税世帯の要件や給付金については自治体によって異なるため、個別の相談にはお答えできません。
参考資料
- 東京都主税局「個人住民税(税金の種類)」
- 総務省「個人住民税」
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」2024年6月21日
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 世田谷区「住民税について」
奥田 朝