2. 日本で富裕層が増え続けているのは「相続」の影響が大きい?

日本で富裕層が増えている理由を考えると、単に経済成長だけではなく、実は「相続や贈与」が重要な要因となっている可能性があります。

特に、長年の不動産価格の上昇や資産形成の機会を得た世代が、相続や贈与を通じて次の世代に富を引き継いでいることが影響しています。

2.1 日本で富裕層が増え続けている理由:相続や贈与による資産増

三井住友トラスト・資産のミライ研究所が実施した調査データを参考に、相続資産額の規模を見てみましょう。

調査概要は以下のとおりです。

<調査概要>

  • 三井住友トラスト・資産のミライ研究所「相続資産の規模と形態について」
  • 対象年齢:20歳~69歳
  • 回答者数:1766人
  • リリース公開日:2022年11月16日

上記調査から「相続を受けたことがある」と回答した人の相続資産規模は、下記の結果となりました。

<相続資産額の規模>

  • 20~29歳:906万円
  • 30~39歳:2628万円
  • 40~49歳:1677万円
  • 50~59歳:2850万円
  • 60~69歳:2463万円
  • 平均:2346万円

相続資産の種類を見ると、「現預金」が含まれているケースが約7割にのぼり、次いで不動産(住居)や不動産(土地)が約4割を占めていることが分かります。

日本では少子化が進み、高齢者の割合が増加していることに加えて、兄弟姉妹が少なく一人っ子が増加していることもあり、資産が一人に集まりやすい状況になっています。

また、相続される資産には「株式」や「債券」、「投資信託」などの金融資産も含まれ、これらの価値が上昇することで、相続資産が大きく増えることがあります。

将来的には、相続した資産をどのように活用するか、また老後の資金管理をどうするかについての計画を立てることがますます重要となるでしょう。