近年の物価の上昇などにより、家計が圧迫されていると感じる人も多いのではないでしょうか。生活が苦しくなり、生活保護の受給対象となる世帯も増えてきています。

統計による生活保護受給世帯は、2024年8月時点で165万2380世帯となっており、年々増加の傾向にあります。

そのうち、高齢者世帯の被保護世帯数は90万7513世帯となっており、生活保護受給世帯の半数以上を占めていることがわかります。高齢者世帯の被保護世帯も、ここ数年は高止まりではあるものの、傾向としては増加しています。

今回は、高齢世帯に生活保護の被保護世帯が多い背景や、60歳代において貯蓄ゼロの割合について解説をした上で、生活保護の受給者とならないための対策をご紹介します。ぜひ参考にしてください。

1. 生活保護制度とは

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助けることを目的とした制度です。

まずは、生活保護の被保護者について、簡単に説明していきます。

1.1 生活保護の対象者

生活保護は世帯単位で行われ、世帯員全員が、利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを前提として、保護の対象となるかを判定することとなっています。

つまり、世帯全体で持っているものをかき集めて努力をしても、政府が算出する最低限の生活を送るための生活費が確保できない場合に支給されるものです。

生活保護の申請は居住する自治体の福祉事務所に対して行い、申請後の審査の上、受給が確定した場合に、厚生労働大臣が定める最低生活費から、実際の収入を差し引いた金額が保護費として支給されます。

【写真全5枚/1枚目】支給される保護費。写真後半では60歳代・単身世帯の貯蓄円グラフを紹介

支給される保護費

出所:厚生労働省「生活保護制度」

1.2 被保護者の生活

生活保護の被保護者となった場合、保護費の受給によって最低限の生活が保障されます。しかしその代わり、いわゆる娯楽や嗜好品など、自身が楽しむためだけに使えるお金は限りなく少なくなります。

時間にゆとりのある老後の生活において、充実した日々を送るためには、できる限り生活保護の受給をしない生活を目指すことが望ましいと言えます。