2.4 年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、老齢年金・障害年金・遺族年金の受給者を対象とする制度です。(本記事では老齢年金に絞って解説していきます。)

◆支給要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※)とその他の所得との合計額が以下のとおり

《昭和31年4月2日以後生まれの方》

老齢年金生活者支援給付金…78万9300円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金…78万9300円を超え88万9300円以下

《昭和31年4月1日以前生まれの方》

老齢年金生活者支援給付金…78万7700円以下
補足的老齢年金生活者支援給付金…78万7700円を超え88万7700円以下
※障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※老齢年金生活者支援給付金を受給することにより、所得基準額を少し超えるがために受給要件を満たさない人より所

得総額が多くなるケースが想定されます。こうした逆転現象により不利益が生じないよう、所得基準額を超える一定の人には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

◆支給額:基準額は月額5310円(2024年度)

年金生活者支援給付金の給付基準額

年金生活者支援給付金の給付基準額

出所:日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」

ただし、支給額は月額5310円を基準に保険料納付済期間により計算されます。

下記①と②の合計

①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5310円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1333円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

国民年金保険料を全期間納めている場合には、月額5310円=年額6万3720円の給付金が支給されます。(昭和16年4月1日生まれまでの方は計算が異なる)

2.5 加給年金

加給年金とは、「年下の配偶者」や「一定の要件を満たす子ども」を扶養している場合に加算される年金です。

◆対象者:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)で下記に該当する「配偶者」や「子ども」を扶養している厚生年金や共済年金に20年以上加入した人

加給年金の対象者と年齢制限

加給年金の対象者と年齢制限

出所:日本年金機構「か行 加給年金額」

配偶者:65歳未満
子:18歳到達年度の松日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子

※ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年※以上あるもの)、退職共済年金(被保険者期間が20年以上あるもの)を受け取る権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金等を受けている場合は、配偶者の加給年金額は支給停止されます。

加給年金の加給年金額

加給年金の加給年金額

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」

◆加給年金額(2024年度の月額)

配偶者:23万4800円
1人目・2人目の子:各23万4800円
3人目以降の子:各7万8300円

なお、老齢厚生年金を受けている方の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額に3万4700円~17万3300円の特別加算額が支給されます。

加給年金は、対象となる配偶者が65歳になれば支給停止となります。ただし、老齢基礎年金を受け取る場合、配偶者によって生計を維持していることに加え、下記の要件をすべて満たす場合には、老齢基礎年金の額に加算「=振替加算」がつきます。

振替加算の金額:ご本人の生年月日に応じて1万5732円~23万4100円

振替加算の対象者は下記の要件を満たす必要があります。

  • 厚生年金保険または共済組合等の老齢(退職)年金、または障害年金(1,2級)を受け取るようになったとき。
  • 退職改定または在職定時改定によって、受け取っている老齢(退職)年金の計算の基礎となる厚生年金保険と共済組合等の加入期間の合計が20年以上になったとき。