2024年に入りコロナが落ち着き円安が進んだこともあって、各国から日本への観光客も増えてきました。

2024年に国土交通省から公表された「観光白書」によれば、2023年の訪日外国人旅行消費額は約5.3兆円と、過去最高を記録しているようです。

一方日本人としては円安や物価高も進んだことから、海外旅行はもとより、日常生活での生活費の負担感の増加を感じている人も増えているのではないでしょうか。

そんな中ではありますが、日本でも富裕層が少しずつ増えていると言われています。

なぜ日本でも富裕層が増えてきているのか?本記事では日本の富裕層がどの程度いるかを含め解説します。

そのうえで、富裕層のカード利用データをもとに、彼らの消費傾向や資産管理の方法についても詳しく見ていきますので、参考にされてみてはいかがでしょうか。

1. 富裕層「億超え資産家」の割合はどのくらい?

日本の富裕層の割合。2枚目以降では富裕層のカード利用金額が多かったカテゴリを図表でチェック!

純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数

出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」

野村総合研究所(NRI)のニュースリリース(※1)では、日本の全世帯を純金融資産(※2)の保有額別に5つの階層に分類し、「マス層」から「超富裕層」までの世帯数や資産規模の推計結果が公表されています。

ここでは「富裕層」は純金融資産1億円以上5億円未満の世帯、「超富裕層」は5億円以上の世帯と定義し、世帯数や世帯数や保有資産の規模に関するデータを見ることができます。

※1:「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」2023年3月1日公表
※2:純金融資産保有額:預貯金、株式、債券、投資信託、一時払い生命保険や年金保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いたもの

1.1 【一覧表】富裕層の世帯数と保有資産規模

  • 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
  • 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
  • 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
  • アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
  • マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円

2021年時点で、日本の「富裕層・超富裕層」は全世帯(5413万4000世帯)のわずか2.7%、つまり約148万5000世帯に過ぎません。

しかし、これらの世帯が保有する資産は合計で推計364兆円にのぼり、全世帯の保有資産合計(1632兆円)の22.3%を占めています。少数の「トップ層」に資産が集中している現状が浮き彫りとなりました。

1.2 「富裕層・超富裕層」は増えている

同リリースによると、富裕層および超富裕層世帯が保有する純金融資産の総額は、2013年以降、継続的に増加しています。

この背景には、株式をはじめとする資産価格の上昇によって、これらの世帯が保有する資産が増加したことが挙げられます。

また、資産運用を通じてさらに資産を増やした結果、準富裕層が富裕層へ、富裕層が超富裕層へと「ステップアップ」するケースが増加している点も指摘されています。

少子高齢化が進行する中、相続人となる若い世代の人数も減っていきます。親や祖父母が残した資産を、少数のきょうだいや一人っ子が相続するケースが今後さらに増加することが予想されるでしょう。

少ない世帯に資産が集中する傾向は、今後ますます強まる可能性が高いと考えられます。