4. 富裕層たちが実践する「倹約パターン」

富裕層と聞くと豪快な暮らしをイメージしがちですが、「使うべきところには使い、使わないところでは徹底して使わない」というルールを守り、質素な暮らしを楽しんでいる方も少なくありません。

今回は、富裕層の方々が実践している節約術について、元金融機関社員である筆者が実際に目にした富裕層の特徴とともにご紹介します。

4.1 倹約パターンその1「シンプルな服装」

まず注目すべきは、服装に対する考え方です。流行の最先端を追うようなブランド服や、「一見オシャレではあるものの着回しがしにくいデザイン」には、あまり関心を持たない人が多いようです。

筆者が金融機関に勤務していた頃にお会いした富裕層の方々の多くは、清潔感と機能性を重視しており、ファストファッションを上手に取り入れるか、多少高価でも飽きがこないアイテムを好んで着用している印象を受けました。

たとえ資産家であっても、無駄な出費を避け、無理なく倹約を楽しむ姿勢がなければ、長期的に手元に資産を残すことは難しいのかもしれません。

4.2 倹約パターンその2「コンビニを使わない」

コンビニエンスストアは、ATMや各種サービスを豊富に展開し、生活インフラの一つともいえる存在となりました。

しかし、そこで販売されている商品の中には、コンビニでは便利さゆえに高めの価格設定になっている一方、スーパーでは特売やまとめ買いで大幅に安く購入できるケースがあります。

ちょっと意外かもしれませんが、富裕層たちの多くが、コンビニとスーパーのこうした価格差をしっかり把握しています。ひとつひとつは小さな金額ですが、日ごろから意識して購入場所を選ぶことで、出費を抑える工夫ができているのです。

4.3 倹約パターンその3「年会費・月会費の倹約」

動画配信サービスや音楽ストリーミングといったスマホアプリ、ソフトウェアの定期使用料、さらにはジムの会費など、さまざまなジャンルでサブスクリプション型のサービスが広く普及しています。

こうしたサービスは、会費さえ支払っていれば必要な時に利用できる便利さが魅力です。でも一方で、「使っていないのに支払いだけが続いているサービスがある」「自分が何を契約しているのか把握しきれていない」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

富裕層の多くは、こうした自動的に引き落とされる固定費についても非常にシビアです。

契約を安易に増やしすぎることを避け、必要なものと不要なものを明確に見極める傾向があります。その結果、利用価値の高いサービスに契約を絞り込み、効率的に支出をコントロールできているのです。

小さな消費行動のひとつひとつを意識することで、富裕層たちは資産を上手に守っているのでしょう。このような「富裕層たちが実践する倹約パターン」から、私たちが学べることは、きっとあるはずです。

5. まとめにかえて

ここまで、日本の富裕層が増えている理由や実態について、解説してきました。

少子化に伴い一人当たりの相続額が増えていること、その中でも株式などの金融資産の価値が上がっており、富が富を呼ぶ状態とも言えます。

富裕層のお金の使い方においても、参考になることが多くありました。余裕があるから無駄遣いをする訳ではなく、ビジネスや生活を豊かにするための投資という視点ももっていることがわかります。

高い買い物でも、リセールバリューを踏まえた買い物をしており、「お金を賢く使う行動習慣」をもっていることが垣間見えます。

ここから我々が参考にできることはなんでしょうか。

お金の使い方には3種類あると言われています。「浪費」「消費」「投資」の3つです。

「浪費」は言わずもがな「無駄遣い」になりますので、駄目とは言いませんが極力控えましょう。

「消費」は必要な買い物になりますが、「本当に必要かどうか」「代替できるものはないか」はその都度自答自問してもいいかもしれません。

「投資」は富裕層にも共通するお金の使い方でした。収入を上げるための勉強なども自己投資になりますし、リセールバリューを考えた買い物も投資の視点が入っています。

今流行りのNISAやiDeCoなどは、将来のためにお金に働いてもらう投資そのものになってきます。

特に少子高齢化が進み将来の不確実さが増している今、バランスの良い貯蓄と資産運用はこれからの時代必須の行動かもしれません。

是非、ここまで見てきた富裕層の行動や考え方も参考にしつつ、ご自身の日々のお金の使い方や習慣を見直されてみてはいかがでしょうか。

参考資料

小沼 大助