「人生100年時代」といわれている今、豊かな老後生活を送りたいと考えている人は多いのではないでしょうか。

厚生労働省の「簡易生命表(令和5年)」によると、2023年の日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.14歳となっており、65歳で退職したと仮定すると15年以上は老後生活を送ることになります。

現役時代と比べて自由な時間が増えるため、旅行や趣味などにお金を使いたいと思う反面、健康状態が気になるという人も少なくないでしょう。

高齢化が進む中、今後も医療費の負担が大きくなる可能性を考慮すると、老後に向けてしっかり資金準備をしておくことが大切となります。

老後の収入の柱となるのが公的年金ですが、果たして年金だけで豊かな老後生活を送ることはできるのでしょうか。

本記事では、令和シニア世代の生活実態について、受け取っている年金の平均額をもとに解説していきます。

1. 年金収入だけで100%生活しているシニア世帯は「半数以下」

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後に「公的年金・恩給のみ」で100%生活できている高齢者世帯は全体の半数以下となっています。

【写真全5枚】公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

年金収入や支出は世帯ごとに異なり、「低年金ながらも事業所得や不労所得で豊かな生活を送る世帯」も存在するかもしれません。

しかし、厚生労働省の同調査によると、生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた高齢者世帯は59.0%にのぼり、前年より10.7ポイント増加しています。

このことから、公的年金の不足分を「勤労収入」や「貯蓄」などで補っている世帯が多いことがうかがえます。

次に、公的年金の仕組みや、現シニア世代の年金受給状況について見ていきましょう。