最近では、富裕層に対する「金融所得課税」についての議論が盛んにおこなわれています。
では、富裕層というと、皆さんはどのようなイメージをお持ちでしょうか。
一般的な富裕層というと、高級住宅に住み、高級車を所有し、高級腕時計や高級なレストランで飲食をし…というような印象をお持ちの方も多いかと思います。
しかし、意外にも富裕層のくらしを見ると、そういった派手なものばかりではありません。
今回は、金融機関に勤務したことがあり、富裕層との接点があった視点から、富裕層の意外な点についてまとめてみます。
また、富裕層に関してデータもあわせて、その実態について見て行きましょう。
1. 元金融機関社員が見た、伝統的な富裕層に共通点する4つの特徴
ここからは、元金融機関社員の筆者が見てきた「富裕層の共通点」をまとめます。
また、一口に富裕層といっても、短期的に富裕層となったいわゆる「新興富裕層」と代々富裕層である「伝統的富裕層」があります。
今回は代々富裕層である「伝統的富裕層」について見て行きましょう。
1.1 【特徴1】国産車に乗っている
富裕層というと、ベンツやBMW、ポルシェといったドイツ車を中心とした外国車を乗り回しているような印象があるという人も多いのではないでしょうか。
東京都内の高級住宅地を見ると確かに外国車はよく目にします。
しかし、意外かもしれないですが、伝統的富裕層には国産車を丁寧に使用している方が多いです。
では、国産車はどのようなものかというと、国産車の中でも高級な車種に乗っている方もいますが、必ずしもそうではありません。一般的な車種をよく見かけます。
またそういった車でも3年サイクルで買い替えるのではなく、長く乗っている方も多いです。
1.2 【特徴2】自転車は電動式ではない
最近では、電動式自転車も普及しており、一度使用すると便利だなと実感される方は多いかと思います。
ただ、富裕層の方の自転車を見てみると、引き続き電動自転車ではない自転車を愛用されている方も多いです。
健康面を考えるとそちらの方がよいですし、またバッテリーの重さを考えると電動式自転車は苦手ということも多いです。
1.3 【特徴3】家の周りは自分で掃除をしている
富裕層ともなれば、掃除はお手伝いさんにお願いする…ということも想像しがちですが、伝統的富裕層では必ずしもそうではありません。
ご自身で早朝から掃除をされているケースが多いです。
また、季節にもよりますが、涼しくなる夕方には、お庭の手入れをご自身でされるのもよく見かけます。
ただ、定期的な樹木の手入れは外部の業者に依頼しているケースがおおです。
1.4 【特徴4】近所づきあいを大事にし、地元のコミュニティに参加している
富裕層は近所づきあいはあまりなく、外出しがちという印象もあるかもしれませんが、伝統的富裕層は地元のコミュニティを大事にしているケースをよく目にします。
地元の自治会にも参加しますし、コミュニティのイベントにも参加しているのをよく目にします。
旅行も近所で行かれるというケースもよく耳にします。
2. 【ご参考】データでみる「純金融資産1億円以上」の富裕層世帯の比率…2.7%
【写真1枚目/全3枚】日本での富裕層の世帯数。以降の写真で富裕層の増加傾向を紹介1/2
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
さて、ここまで富裕層の特徴についてみてきましたが、データで見る富裕層はどのような状況となっているのでしょうか。
以下、ご参考いただけるデータをもとにポイントをまとめてみました。
2.1 富裕層の定義とは
そもそも富裕層とはどのような定義なのでしょうか。
野村総合研究所による報告によれば、富裕層とは「純金融資産で1億円以上保有」している世帯と定義しています。
また、同基準で5億円以上保有する世帯を「超富裕層」と呼んでいます。
2.2 富裕層は日本にどれくらいいるのか
日本には純金融資産1億円以上の富裕層(ここでは超富裕層も含みます)が148万5000世帯存在しています。
割合にすると全体世帯数の2%程度が富裕層以上ということになります。
- 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満):139万5000世帯/259兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
- マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円
この富裕層をさらに細かく分類すると、資産1億円以上5億円未満の「富裕層」が約2.6%(139万5000世帯)、5億円以上の「超富裕層」が約0.2%(9万世帯)を占めています。
全世帯数は5413万4000世帯とすると、資産1億円以上の世帯は約2.7%ということになります。
3. 【ご参考】データで見る増え続ける日本の富裕層世帯数…2021年には148万世帯を超えた
賃金も上がらず、物価などからくらしが苦しいと嘆く人が多い中、富裕層が増え続けるにはどのような理由があるのでしょうか。
純金融資産保有額の階層別にみた保有資産規模と世帯数の推移2/2
出所:株式会社野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計 | ニュースリリース | 野村総合研究所(NRI)」
2005年から2021年にかけて、富裕層は増加しています。
富裕層と超富裕層が保有する資産総額の推移は以下の通りです。
- 2015年:272兆円
- 2017年:299兆円
- 2019年:333兆円
- 2021年:364兆円
2015年と21年で比較してみると、総資産額は実に34%も増加しています。
4. 日本の富裕層が増えた3つの背景
それでは、なぜ日本で富裕層が増え続けているのでしょうか。
続いてその背景について見て行きましょう。
日本で富裕層が増え続けている理由として、様々な要因が考えられますが、今回は以下のような要因をあげてみます。
4.1 【背景1】国内外の株価上昇
皆さんもご承知の通り米国の株式市場は長期的に堅調に推移し、ダウ工業平均株価やS&P500といった株価指数は、でこぼこはありながらも長期的に上昇トレンドとなっていました。
また、米国だけではなく、世界的な株高が継続してきたという背景もあるかと思います。
富裕層はそうでない世帯と比較して一般的に株式の保有額やその比率が高いことから、株式市場の環境が資産額の増減に影響を及ぼします。
したがって、世界的な株高の背景は最も大きな背景としてあげられるでしょう。
4.2 【背景2】非課税枠のある投資制度の充実による資産形成機会の拡大
また、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度の登場も無視はできません。旧NISAは以前からありましたが、やはり多くの人が投資を始めたきっかけというと、2018年にはじまった「つみたてNISA」は多いのではないでしょうか。
NISA制度は2024年より「新しいNISA(いわゆる新NISA)」として展開されています。10年近い期間を経て、こうした非課税枠のある投資制度の拡充により、個人が資産形成に関わる機会は増えてきました。
10年前に投資に興味がなかった人も、NISAなどの制度をきっかけとして証券投資をはじめたという人は多かったのではないでしょうか。先ほども指摘した通り、世界的に株価はこれまで長期にわたり上昇傾向にあり、早い段階で資産形成を始めた人ならば相応の利益が出ていることが推測できます。
4.3 【背景3】相続や贈与によるもの
富裕層になった人のなかには、相続や贈与から多額の資金を手に入れた人もいるでしょう。
高齢化が進む日本では、親などから資産を受け継ぐ人が増え、結果として富裕層の数が増えている可能性もあります。
一般的な家庭であっても「遺産分割で祖父母の遺産を継いだ」という人も少なくありません。
こういった株式市場の好調さ、資産形成の機会拡大、また人口動態の変化などが、富裕層の増加に寄与した可能性があります。結果として、本人の意図しないところで富裕層の仲間入りを果たした、という人もいるでしょう。
5. まとめにかえて
いかがでしたでしょうか。
今回は伝統的富裕層の特徴についてまとめ、またデータをもとに、富裕層の割合や、彼らの共通点について解説してきました。
富裕層の実態が少しでもイメージできていれば幸いです。
参考資料
マネー編集部ウェルスマネジメント班