「年金生活者支援給付金」は、年金収入額やその他所得が一定水準以下の人へ支給される給付金です。
2019年10月1日より始まった制度であり、対象者は申請をすることで受給することができます。
昨今は「定額減税」「住民税非課税世帯への一時的な給付金」など、物価高による施策が多く打ち出されていますが、年金生活者支援給付金は原則として継続的な制度です。
次回の12月13日支給分の年金から早速対象となる人もいますが、どのような人が該当するのでしょうか。
本記事では「年金生活者支援給付金」の給付金額や対象者などについて解説をしていきます。
11月22日に閣議決定された「住民税非課税世帯への3万円給付」についても見ていきましょう。
1. 「年金生活者支援給付金」12月13日から対象になるのはどんな人?
年金生活者支援給付金は、要件を満たす低所得者を対象とした支援金です。
「老齢基礎年金(国民年金)」「障害基礎年金」「遺族基礎年金」を受給する人のうち、一定の要件を満たした人が年金に上乗せして受け取れるしくみです。
このうち、老齢基礎年金(国民年金)の受給者が対象となる可能性がある「老齢年金生活者支援給付金」の要件を見ていきましょう。
1.1 老齢年金生活者支援給付金の対象者
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 請求される方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている
- 前年の公的年金等の収入金額(※)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下※2である。
※昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
1.2 12月13日の年金支給から対象になる人
これまで対象外だったにも関わらず、次の12月13日の年金支給から給付金の対象になる人とは、今年9月以降に送付されてきた請求書により、申請が完了した人です。
手続きが未済の人は、たとえ対象であっても支給されません。ただし、申請期限内に手続きを行えば、遡って給付金を受け取れるので漏れがないか確認しましょう。
具体的な申請方法や期限について、次章で解説します。
2. 「申請しないと受け取れない」年金生活者支援給付金の手続き方法
年金生活者支援給付金を受け取るためには、申請が必要です。ただし、1度申請すれば原則として継続的に支給を受けられます。
以下では、「年金そのものを新たに請求する人」と、「すでに年金を受け取っている人」の2つのケースにわけて、申請方法を詳しく解説します。
2.1 年金そのものを新規請求する人の場合
そもそも年金自体の受給を開始する前には、年金請求が必要です。この時点で対象となると思われる方には、老齢基礎年金の請求書と一緒に給付金請求書も送付されます。
この給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書と合わせて提出することで、年金生活者支援給付金の手続きがは完了します。
2.2 すでに年金を受け取っている人の場合
すでに年金を受け取っている方も、所得の変動によって給付金の対象となることがあります。この場合、毎年9月に「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が送られます。
届いた請求書に記載された必要事項を記入し、切手を貼って郵便ポストに投函するだけで手続きは完了します。※繰上げ受給している場合は書類の様式が異なります。
このはがきを届いてすぐに提出した人は、10月・11月分の給付金を早速12月13日から受給できるというわけです。
ただし、まだ手続きができていないという人も間に合います。
年金生活者支援給付金請求書には申請期限が印刷されており、今年度の期限は「令和7年1月6日」となっています。
この日までに手続きを行えば、10月分までさかのぼって年金生活者支援給付金が支払われるため、対象となる方は必ず期限までに申請を行いましょう。
続いて年金生活者支援給付金の金額を見ていきます。
3. 年金生活者支援給付金の金額はいくらか
年金生活者支援給付金の金額は毎年変わります。
老齢年金生活者支援給付金の場合、以下の計算式で求められます。
3.1 <給付金額>
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5310円×保険料納付済期間/被保険者月数480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1333円×保険料免除期間/被保険者月数480月
基準額は月額で5310円となっていますが、実際には上記のとおり、保険料納付済期間と保険料免除期間によって決まります。
例えば昭和31年4月2日以降に生まれた方で、納付済み期間が240カ月、全額免除期間が60カ月の場合は、月額4072円の給付が受けられます。実際の支給額は個人により異なるため、疑問点がある場合は最寄りの年金事務所などで相談することをおすすめします。
要件からは、住民税非課税世帯のうち一部の人が対象になることがわかりますが、住民税非課税世帯に対しては3万円の現金給付が行われることも決定しています。
4. 「住民税非課税世帯」3万円の現金給付が決定
2024年11月22日、「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」が閣議決定され、その一環として低所得者世帯を対象に3万円の給付が行われることが決まりました。
- 住民税非課税世帯:一世帯当たり3万円
- 住民税非課税世帯のうち、子育て世帯:子ども一人当たり2万円を加算
では、住民税非課税世帯となる要件はどのようなものがあるのでしょうか。一例として、東京23区の条件をチェックしていきましょう。
4.1 東京都23区内で「住民税非課税世帯」に該当する条件(所得等)
(1)生活保護法による生活扶助を受けている方
(2)障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の方
(3)前年中の合計所得金額が下記の方
- 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
- 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下
例えば「同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合」の目安は所得45万円以下となります。所得45万円となる収入の目安は次のとおりです。
- 給与収入のみの場合:年収100万円
- 65歳以上の年金収入のみの場合:年収155万円
- 64歳以下の年金収入のみの場合:年収105万円
※目安のため異なるケースがあります。
5. まとめにかえて
「年金生活者支援給付金」について詳しく解説をしていきました。
年金生活者支援給付金は低所得者や住民税非課税世帯にとって助けになるものと言えるでしょう。
しかし、根本的な老後不安を解決するには、年収を上げて年金額を増やすこともまた一つの方法です。
老後生活を送る上で「金銭的に余裕がないことは避けたい」と思う人がほとんどですが、物価高により難しいのもまた事実です。
そんな問題を解決するには、現役時代から老後生活へ向けてコツコツと準備することが最も大切です。
現在の日本では、老後生活へ向けての準備方法も多く存在します。
一昔前では「貯金」が主流でしたが、今は資産運用を活用する人も多く、「NISA」や「iDeCo」などを利用している方も多いではないでしょうか。
「NISA」「iDeCo」とは投資で得た利益を非課税にすることができる非課税制度の一つであり、NISAは18歳、iDeCoは20歳から始められることができます。
その他にも「個人年金保険」や「不動産投資」など、様々な方法があります。
どんな方法にもメリット・デメリットが存在し、元本が保証されているものは少ないため、特にリスクには留意する必要があります。
「投資」を検討される人は、しっかりと仕組みなどを理解してから始めるようにしましょう。
参考資料
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」
- 内閣府「「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」について」
長井 祐人