4.3 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額(2022年度末時点)
〈全体〉平均年金月額:14万3973円
- 〈男性〉平均年金月額:16万3875円
- 〈女性〉平均年金月額:10万4878円
※国民年金の月額部分を含む
厚生年金(国民年金の月額部分を含む)の場合、男女全体の平均年金月額は14万円台です。ただし男女別に見ると、男性16万円台、女性10万円台と大きな男女差があります。
また受給権者により1万円未満から30万円以上まで、幅広い受給額ゾーンに分布している点も特徴のひとつです。現役時代の年収や働き方の違いが老後の年金額に反映された結果であることは確かと言えるでしょう。
現役時代の年金加入状況により、実際に受け取る年金額には個人差が出ます。老後のマネープランを立てる中で、いわゆる「額面」の年金額ばかりに目が行きがちですね。
この額面から税金や社会保険料などが天引きされるという点も、ぜひ忘れずに。
5. まとめにかえて
ここまで、日本の年金制度の仕組みや受給額について確認してきました。
ねんきん定期便などでご自身の年金額をチェックすることは大切ですが、記載されている金額がそのまま手取りになるわけではない点に注意が必要です。
実際、国民年金の受給額は5万円台、厚生年金は14万円台といわれていますが、額面からの手取り額はさらに減るため、年金だけで十分な老後生活が送れると感じる方は少ないかもしれません。加えて、物価の上昇が続けば、老後生活への影響はさらに大きくなります。
そのため、年金以外の収入源を備えておく「自助努力」の重要性がますます高まっています。最近では、iDeCoやNISAといった国が提供する制度に注目が集まっており、2024年1月に改定されたNISAも多くの関心を集めています。
ファイナンシャルアドバイザーとして勤務している筆者も多くの方から相談を受ける機会が増えていますが、人気がある一方で、これらにはリスクもあるため、それぞれの目的に応じた仕組みを選ぶことが大切です。
自分にとってどの制度が合うのか、まずは情報収集から始め、将来に備えましょう。
参考資料
- 日本年金機構「第2号被保険者」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 日本年金機構「公的年金等からの所得税・個人住民税の定額減税に関するQ&A」
- 厚生労働省「[年金制度の仕組みと考え方]第10 在職老齢年金・在職定時改定」
徳原 龍裕