総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、65歳以上無職世帯の1カ月あたりの平均消費支出は単身世帯が14万5430円、夫婦世帯が25万959円です。
これに対し、老後の収入の柱となる公的年金の平均月額は国民年金が月5万6316円、厚生年金が14万3973円です。
平均水準の年金収入では、平均的な暮らしは難しいことがわかります。夫婦ともに平均程度の厚生年金を受給できれば、税金や社会保険料を差し引いた手取りベースでギリギリ赤字がでるかどうか、というところでしょう。
ただし、年金額は保険料の納付状況等により個人で異なるものです。そこで本記事では国民年金・厚生年金について、月額階級ごとの受給者数より個人差がどれほど大きいのかを確認していきます。
また、低年金者を対象とした「年金生活者支援給付金」という制度についても確認しておきましょう。
1. 公的年金の仕組み《国民年金・厚生年金》
日本の公的年金制度は「2階建て」と言われています。
会社員や公務員などが対象となる厚生年金保険は、20歳以上60歳未満の日本に住む全ての人が対象となる国民年金に”上乗せ”して加入する仕組みであることから、このように建物に例えられています。
国民年金と厚生年金の特徴を確認していきましょう。
1.1 1階部分:国民年金
- 原則、日本に住んでいる20歳から60歳までの全員が加入
- 一律の保険料(年度ごとに見直しあり)
- 国民年金保険料を40年間全て納めた場合に、老後、満額の基礎年金が支給される
1.2 2階部分:厚生年金
- 会社員や公務員、一定の要件を満たすパート・アルバイト従業員が対象
- 保険料が収入によって変わる(上限あり)
- 納めた保険料や加入期間により年金額が決定。基礎年金に上乗せする形で支給される
自分が加入する年金の種類や、保険料の納付状況などは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認しておくと良いでしょう。
次章では、国民年金と厚生年金の受給額を詳しく見ていきます。