老後生活と聞いて、皆様はどのような姿をイメージされますか。
一昔前は自宅でのんびりと盆栽を育てながら悠々自適な暮らしをしながら過ごすイメージがあったかもしれませんが、自分自身の老後を考えたときに、その姿をイメージできる方はそれほど多くないのではないでしょうか。
昔に比べ、今は子供の人口が減少し、日本は少子高齢化問題に直面しています。
65歳以上の人口は1950年に5%ほどだったのですが、団塊ジュニアが64歳以上となる2040年には35%を超えるという予想が厚生労働省が公表しているデータにも記載されています。
高齢者を支える人口が減るのだから、老後生活は年金だけで生活ができると考える方が難しいのも致し方ないのかもしれません。
そこで今回は老後生活における収支の実態について確認していきます。
また、老後の準備をするにあたり、まずは自分がどんな生活を実現したいのかをイメージすることが大切ですので、老後生活にいる方がどんな水準で暮らしているのかを確認してみましょう。
1. 高齢者世帯の約59%が「生活が苦しい」シニアの現実
厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」から、シニア世帯の暮らし向きに関する意識について見ていきます。
1.1 「大変苦しい」もしくは「やや苦しい」と答えるシニアは増加
1.2 全世帯の結果
- 大変苦しい:26.5%(前回20.2%)
- やや苦しい:33.1%(前回31.0%)
- 普通:35.8%(前回42.1%)
- ややゆとりがある:3.9%(前回5.5%)
- 大変ゆとりがある:0.7%(前回1.1%)
1.3 うち児童のいる世帯の結果
- 大変苦しい:28.5%(前回22.9%)
- やや苦しい:36.5%(前回31.7%)
- 普通:31.5%(前回39.0%)
- ややゆとりがある:3.1%(前回5.4%)
- 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.9%)
1.4 高齢者世帯の結果
- 大変苦しい:26.4%(前回18.1%)
- やや苦しい:32.6%(前回30.2%)
- 普通:36.7%(前回45.1%)
- ややゆとりがある:3.9%(前回2.5%)
- 大変ゆとりがある:0.4%(前回0.8%)
調査結果によると、高齢者世帯の59.0%が、生活が「大変苦しい(26.4%)」もしくは「やや苦しい(32.6%)」と回答。中でも「大変苦しい」世帯の割合は、前回調査(2022年)から8.3ポイント上昇しています。
止まらぬ物価上昇が、老齢年金世帯の家計を圧迫している様子をうかがうことができる結果となりました。現役世代とは異なり、多くの世帯が限られた年金収入でやりくりをしていく必要があるシニア世代。その中で、食費や光熱費などの値上がりに耐えながら、医療費や介護費用の捻出をおこなうことが求められていくわけですね。
そんな老後の暮らし支える柱として、公的年金の存在は多くの世帯にとって欠かせないものです。次では、今のシニア世代の公的年金(国民年金・厚生年金)事情を見ていきます。