公的年金は老後の生活を支える収入源です。会社員や公務員として働いている方は、国民年金に加えて厚生年金を受給できます。
年金月額として30万円を実現するのは、かなり難しいのが現実です。
今回は、厚生年金を月額30万円受給できる人の割合や、現役時代の年収がいくら必要かを解説します。
なお、本記事では税金や社会保険料が天引き徴収される前の総支給額ベースで計算を行います。
1. 厚生年金の平均受給額
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2022年度の厚生年金の平均受給額は14万3973円でした。
なお、年齢別の厚生年金受給額は以下のとおりです。
- 60歳:9万4853円
- 61歳:9万1675円
- 62歳:6万1942円
- 63歳:6万4514円
- 64歳:7万9536円
- 65歳:14万3504円
- 66歳:14万6891円
- 67歳:14万5757円
- 68歳:14万3898円
- 69歳:14万1881円
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
- 80歳:15万1109円
- 81歳:15万3337円
- 82歳:15万5885円
- 83歳:15万7324円
- 84歳:15万8939円
- 85歳:15万9289円
- 86歳:15万9900円
- 87歳:16万732円
- 88歳:16万535円
- 89歳:15万9453円
- 90歳以上:15万8753円
厚生年金の年金額には国民年金が含まれるため、多くの方は月額15万円程度の年金で生活していることがわかります。例えば、夫が受け取れる年金月額が15万円で妻が受け取れる年金月額が6万円の場合、あわせて21万円(税金や社会保険料の天引き前)で生活をやりくりする必要があります。
2. 厚生年金を月額30万円受給できる人の割合
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を月額30万円受給できる人数は1万2490人、割合にすると約0.08%でした。
月額30万円の厚生年金は平均受給額の2倍以上となるため、割合としてはかなり低いことがわかります。一部の高所得者でなければ、実現するのは難しいといえるでしょう。
それでは、具体的に年収がいくらあれば、厚生年金を月額30万円受給できるのでしょうか。
3. 厚生年金を月額30万円受給するために必要な年収
厚生年金の受給額は、厚生年金に加入していた期間と加入期間中の報酬額によって決まります。なお、計算式は「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で以下のように異なります。
- 2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
- 2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数
なお、国民年金の満額を78万円とすると、毎月30万円(年間360万円)の年金額を受給するには厚生年金の受給額として282万円が必要です。
2003年4月以降の計算式を用いて、22歳から65歳までの43年間にわたって厚生年金に加入した場合、いくらの年収が必要かを計算してみましょう。
「A(平均標準報酬額)×5.481/1000×516カ月(43年間)=282万円」という計算式を解くと、A(平均標準報酬額)は約100万円となります。年収に換算すると約1200万円です。
つまり、「厚生年金に加入している43年間の平均年収が1200万円以上」であれば、年金として「月額30万円」を受給できます。
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は460万円でした。
年収1200万円を達成するのは、多くの方にとって難しいのが現実です。
4. 繰り下げ受給により月額30万円の年金を実現することも可能
公的年金には繰り下げ受給という仕組みがあり、繰り下げ受給をすると1カ月あたり0.7%増額された年金を受け取れます。
1年間繰り下げると8.4%、5年間繰り下げると42%増額された年金を受け取れるため、繰り下げ受給を活用して年金額を増やす方法が考えられます。
例えば、65歳時点における年金受給額(国民年金と厚生年金の合算額)は253万円の方が5年間年金受給を繰り下げると、「253万円×1.42=359.26万円」です。おおむね毎月30万円を受給できる計算となります。
現行制度では、75歳まで繰り下げ受給が可能です。
まだ年金を受給していない方は、繰り下げ受給を通じて年金額を増やすという選択肢も知っておくとよいでしょう。
5. まとめにかえて
公的年金を毎月30万円受給できれば安心して老後生活を送れそうですが、多くの方にとって現実的ではありません。
現役の頃の平均年収が試算上1200万円以上である必要があるため、かなり難しいでしょう。
しかし、繰り下げ受給を活用して月額30万円の年金受給を目指す方法もあります。
これから年金を受給する予定の方は、今後働く予定や資産状況を鑑みて、繰り下げ受給が可能か検討してみてください。
参考資料
柴田 充輝