2. 厚生年金を月額30万円受給できる人の割合

厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金を月額30万円受給できる人数は1万2490人、割合にすると約0.08%でした。

月額30万円の厚生年金は平均受給額の2倍以上となるため、割合としてはかなり低いことがわかります。一部の高所得者でなければ、実現するのは難しいといえるでしょう。

それでは、具体的に年収がいくらあれば、厚生年金を月額30万円受給できるのでしょうか。

3. 厚生年金を月額30万円受給するために必要な年収

厚生年金の受給額は、厚生年金に加入していた期間と加入期間中の報酬額によって決まります。なお、計算式は「2003年3月以前」と「2003年4月以降」で以下のように異なります。

  • 2003年3月以前の加入期間:平均標準報酬月額×(7.125/1000)×2003年3月以前の加入月数
  • 2003年4月以降の加入期間:平均標準報酬額×(5.481/1000)×2003年4月以降の加入月数

なお、国民年金の満額を78万円とすると、毎月30万円(年間360万円)の年金額を受給するには厚生年金の受給額として282万円が必要です。

2003年4月以降の計算式を用いて、22歳から65歳までの43年間にわたって厚生年金に加入した場合、いくらの年収が必要かを計算してみましょう。

「A(平均標準報酬額)×5.481/1000×516カ月(43年間)=282万円」という計算式を解くと、A(平均標準報酬額)は約100万円となります。年収に換算すると約1200万円です。

つまり、「厚生年金に加入している43年間の平均年収が1200万円以上」であれば、年金として「月額30万円」を受給できます。

国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、平均年収は460万円でした。

年収1200万円を達成するのは、多くの方にとって難しいのが現実です。