3. 「厚生年金と国民年金」から天引きされる4つのお金とは?

年金から天引きされているお金は主に下記4つです。

  • 介護保険料
  • 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料
  • 個人住民税
  • 所得税および復興特別所得税

3.1 介護保険料

介護保険は、40歳から64歳までは健康保険料に含まれて納めますが、65歳を迎えると介護保険料を単独で支払う必要があります。

年金受給額が年間18万円以上の場合、介護保険料は年金から自動的に天引きされますが、年間18万円未満の人や年金繰下げを選択している人は年金からの天引きはされず「普通徴収」となります。

介護保険料の支払いは生涯にわたり続き、たとえ本人が介護を受ける立場になっても、支払い義務はなくなりません。

なお、介護保険料は自治体によって異なりますが、高齢化と介護サービスの需要が増加しているため、毎年増額傾向にあります。

3.2 国民健康保険料・後期高齢者医療制度の保険料

老後に支払う健康保険には、「65歳以上75歳未満の方が加入する国民健康保険」と「原則として75歳以上の方が加入する後期高齢者医療保険」の2種類があり、該当年齢に達すると、自動的に切り替わります。

どちらも、年金から自動的に天引きされますが、年金からの天引きが適用されるには、「介護保険料が特別徴収されている」といった特定の条件を満たすケースに限られます。

条件を満たさない場合や年金額が一定以下の場合、保険料は普通徴収となり、年金からの天引きは行われません。

普通徴収の場合、保険料は納付書で直接支払うか、口座振替で支払う必要があります。

3.3 個人住民税

前年の所得に基づいて課される住民税は、年金所得が一定額以上の場合、年金から自動的に天引きされて支払います。

住民税は、収入が一定以下の場合は非課税となり、障害年金や遺族年金を受給している場合、これらの年金は非課税扱いとなり、住民税の支払い義務は発生しません。

3.4 所得税および復興特別所得税

公的年金は雑所得に分類され、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円を超えると所得税が課税されます。

また、現在は東日本大震災からの復興を目的とした「復興特別所得税」も、源泉徴収時に課税されることに注意が必要です。

なお、65歳未満で108万円以下、65歳以上で158万円以下の場合、所得税および復興特別所得税は非課税となり、障害年金や遺族年金を受給している場合も非課税です。

以上4つが、年金から天引きされる「税金」や「社会保険料」となります。

これらの天引き額の合計は年金額や所得に応じて異なりますが、概ね10%〜15%が天引きされると考えておきましょう。

ここまで年金の平均受給額と天引き額について説明しましたが、年金が平均額以下で生活に困っている方もいるかもしれません。

そのような低所得の年金世帯を支援するために、政府は「年金生活者支援給付金」という制度を実施しています。

次章でその対象者や給付金額を見ていきましょう。