3. 年金の制度改正や検討項目
公的年金の改正として検討されてきた主な内容は、以下のとおりです。
- 国民年金の延長案
- 在職老齢年金の改正
- 遺族年金の改正
それぞれのポイントについて確認しましょう。
3.1 国民年金の延長案
国民年金保険料は、将来の年金制度を維持するために納付期間を5年間延長するか検討されてきました。
国民年金保険料は、自営業者や学生といった「第1号被保険者」が支払います。保険料の加入期間は、原則として20歳以上60歳未満です。
納付期間を5年延長する案が実施されたら、保険料は65歳まで支払う必要があります。
2024年度の納付額は月額1万6980円なので、もし納付期間が5年延長されたら、追加の保険料の負担総額は100万円を超えることになります。
今回は、国民の負担増への反発を懸念したため、2025年からの実施は先送りされました。
ただし今後の財政状況によっては、また納付期間の延長案が検討項目となる可能性もあります。
3.2 在職老齢年金の改正
在職老齢年金制度とは、仕事で働いた給与と厚生年金の合計額が50万円を超えると、年金が減額される制度です。
50万円を超えた場合、超えた金額の半分が支給停止となります。
年金の基本的月額が15万円、総報酬月額が40万円の場合で支給停止額を計算してみましょう。
- 支給停止額:(15万円+40万円-50万円)÷2=2万5000円
2万5000円が、厚生年金の受給額から減額されます。在職老齢年金は、50万円の上限額を緩和する案と、制度そのものを廃止する案が検討されています。