日本の公的年金は「厚生年金」と「国民年金」の2種類に分かれます。
加入者や年金額など、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、厚生年金と国民年金の受給額や受給額について解説します。
記事の後半では、厚生年金にまつわる最新ニュースを解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
1. 厚生年金と国民年金について
厚生年金と国民年金では、加入者や毎月支払う保険料が異なります。
それぞれの特徴について確認しましょう。
1.1 国民年金とは
国民年金は、国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金です。
加入者の属性に応じて、第1号被保険者から第3号被保険者のいずれかに分類します。
国民年金の加入者には、以下の年金が支払われます。
国民年金から支給される年金2/7
出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
- 老齢年金
- 障害年金
- 遺族年金
加入者のうち、第1号被保険者は国民年金の保険料を自身で負担する必要があります。2024年4月以降の保険料は月額1万6980円です。
1.2 厚生年金とは
厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入する年金です。
厚生年金とは3/7
出所:日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
国民年金に比べて、将来的な受給額は一般的に高くなります。
ただし、厚生年金は報酬をもとに保険料が決まるため、加入者ごとに保険料は異なります。
では、国民年金と厚生年金はいくら受け取れるのでしょうか。国民年金と厚生年金の平均受給額を確認します。
2. 厚生年金と国民年金の受給額
厚生年金と国民年金の受給額について、厚生労働省が2023年12月に発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」から解説します。
2.1 厚生年金の受給額
厚生年金の受給者平均年金月額は、2022年度末時点で14万4982円でした。
現役時代の報酬ごとに支払われる厚生年金の目安額は、以下のとおりです。
- 報酬54万9000円:年金額18万6104円
- 報酬43万9000円:年金額16万2483円
- 報酬32万9000円:年金額13万8862円
- 報酬37万4000円:年金額14万8617円
- 報酬30万円:年金額13万2494円
- 報酬22万5000円:年金額11万6370円
- 報酬14万2000円:年金額9万8484円
※厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点②」より
では、国民年金の受給額について確認しましょう。
2.2 国民年金の受給額
国民年金の受給額は、保険料を納付した期間によって決まります。
国民年金の満額は2024年度で月額6万8000円です。このように支給される年金額は、物価や賃金の推移に合わせて毎年変動しています。
厚生労働省の「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均受給額は5万6428円でした。
以上から、年金の受給額は加入している年金制度によって異なります。年金制度は、財政や生活実態を踏まえながら改正することがあるのです。
では、年金制度にかかわる改正や検討されている内容について確認しましょう。
3. 年金の制度改正や検討項目
公的年金の改正として検討されてきた主な内容は、以下のとおりです。
- 国民年金の延長案
- 在職老齢年金の改正
- 遺族年金の改正
それぞれのポイントについて確認しましょう。
3.1 国民年金の延長案
国民年金保険料は、将来の年金制度を維持するために納付期間を5年間延長するか検討されてきました。
国民年金保険料は、自営業者や学生といった「第1号被保険者」が支払います。保険料の加入期間は、原則として20歳以上60歳未満です。
納付期間を5年延長する案が実施されたら、保険料は65歳まで支払う必要があります。
2024年度の納付額は月額1万6980円なので、もし納付期間が5年延長されたら、追加の保険料の負担総額は100万円を超えることになります。
今回は、国民の負担増への反発を懸念したため、2025年からの実施は先送りされました。
ただし今後の財政状況によっては、また納付期間の延長案が検討項目となる可能性もあります。
3.2 在職老齢年金の改正
在職老齢年金制度とは、仕事で働いた給与と厚生年金の合計額が50万円を超えると、年金が減額される制度です。
50万円を超えた場合、超えた金額の半分が支給停止となります。
年金の基本的月額が15万円、総報酬月額が40万円の場合で支給停止額を計算してみましょう。
- 支給停止額:(15万円+40万円-50万円)÷2=2万5000円
2万5000円が、厚生年金の受給額から減額されます。在職老齢年金は、50万円の上限額を緩和する案と、制度そのものを廃止する案が検討されています。
3.3 遺族年金の改正
会社員や公務員を対象にした遺族厚生年金の支給要件が、変更する方向で検討されています。変更が検討されている項目は「子どものいない配偶者の支給要件」です。
現行制度では、子どもがいない世帯の場合、夫と妻のどちらが亡くなったかで、遺族年金の支給期間が異なります。
- 30歳未満の妻:5年間のみ受給
- 30歳以上の妻:無期給付
- 55歳以上の夫:無期給付(60歳から支給スタート)
子がいない夫婦の場合、受給要件に男女差が存在しているといえます。
改正案では、子がいない夫婦のどちらかが亡くなった場合、遺族厚生年金は5年間のみの給付となります。
男女で支給内容に差がありましたが、改正案では男女差がなくなる見通しです。以上から、年金制度がどのように変わるのか、今後も引き続き注目が集まります。
4. まとめにかえて
公的年金の加入者や受給額について解説しました。
加入している年金によって、将来受け取れる年金額も異なります。
また、年金の改正案や新たに検討されている案も確認しました。
今後、年金制度がどのように変更されるのか、引き続き注目していきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点②」
- 厚生労働省「遺族年金制度等の見直しについて」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「知っておきたい年金のはなし」
川辺 拓也