2024年10月18日総務省は「消費者物価指数 全国 2024年(令和6年)9月分」を発表しました。

消費者物価指数とは、基準時を100として比較時の指数が上昇していれば、物価が上がったことを示しています。

総合指数は108.9。前年同月比は2.5%の上昇。

生鮮食品を除く総合指数は108.2。前年同月比は2.4%の上昇。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は107.5。前年同月比は2.1%の上昇となりました。

このように物価が上昇している状況やコロナ禍の影響で、生活が厳しくなっている家庭が増えています。特に経済的に余裕がない世帯への支援が必要とされており、政府はその対策として「住民税非課税世帯」を対象に10万円の給付金を進めています。

今回は、この「10万円給付」の対象者となる条件や申請方法、さらに70歳代の平均貯蓄額について詳しく解説していきます。

1. 現在実施されている「10万円給付」の対象者は?

2023年度の政策により、現在「2024年度に新たに住民税非課税となった対象世帯」へ向けて10万円の給付金が支給されています。

以下で、給付対象者について詳しく見ていきます。

1.1 2024年度実施の「10万円給付」の対象者

  • 2024年6月3日時点で、住民税非課税となる世帯
  • 2024年6月3日時点で、住民税均等割のみ課税となる世帯

今回の10万円給付は、「2024年度に新たに住民税非課税となった世帯」が対象です。

また、対象となる世帯に18歳以下の子どもがいる場合は、子ども1人あたり5万円が追加で給付されます。

申請を行わないと支給されない世帯もあるため、申請漏れがないよう注意しましょう。

なお、2023年度に行われた「住民税非課税世帯等を対象とした10万円や7万円の給付」を受けた方は、今回の10万円給付や子供1人あたり5万円の給付は対象外となります。

1.2 2024年度実施の「10万円給付」の手続き方法

転入して間もない方や、公金受取口座が未登録の方は、現在実施されている10万円給付を受けるための申請が必要となる可能性があります。

申請書が届いているか確認し、速やかに手続きを進めてください。

特別な手続きは基本的に不要となるのは、マイナンバーカードの公金受取口座が登録済みの方です。

なお、申請期限は自治体ごとに異なります。

申請期限を2024年9月〜10月末としている自治体もあるため、詳しくはお住まいの自治体にご確認ください。

次章では、どのくらいの所得水準の場合、住民税非課税世帯や均等割のみ課税世帯に該当するのか確認していきます。

2. 住民税非課税世帯に該当する条件とは?

自治体ごとに、住民税が非課税となる基準が異なります。

ただし、前年の所得がゼロだと、住民税は非課税です。なぜなら、前年の所得をもとに住民税が計算されるからです。

また、一定の所得が基準を下回っている場合も非課税となるため、「少しでも収入があれば課税対象」となるわけではありません。

なお、「住民税非課税世帯」とは、世帯全員が非課税となっている世帯のことです。次は、東京都23区を例に、住民税非課税世帯に該当するケースを見ていきます。

2.1 住民税非課税世帯に該当する要件(東京都23区内のケース)

  1. 生活保護法による生活扶助を受けている方
  2. 前年中の合計所得金額が135万円以下(給与所得者の場合は、年収204万4000円未満)の寡婦又は寡夫・未成年者・障害者の方
  3. 前年中の合計所得金額が以下に該当する方
  • 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合:35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下
  • 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合:45万円以下

年収から各種控除を差し引いた金額を、所得と言います。

扶養する家族がいない場合、「所得目安は45万円以下」となります。

なかには、「自分が住民税非課税世帯なのか、わからない」という方もいるのではないでしょうか。

次章では、東京都港区のケースを例に、住民税非課税世帯に該当する収入目安を確認します。

2.2 住民税非課税世帯に該当する収入目安(東京都港区のケース)

【写真1枚目/全4枚】港区の「住民税非課税世帯の年収条件」。写真後半では一覧表で「年代別の住民税非課税世帯の割合」を比較1/4

【写真1枚目/全4枚】港区における住民税非課税世帯の年収条件。写真後半では「年代別の住民税非課税世帯の割合」を一覧表で比較

出所:港区「住民税(特別区民税・都民税)はどういう場合に非課税になりますか。」

 

  • アルバイトやパート:給与収入が100万円以下
  • 65歳以上で年金受給のみ:年金収入が155万円以下
  • 65歳未満で年金受給のみ:年金収入が105万円以下

年金収入がある方が住民税非課税となる基準は、65歳以上「年収155万円以下」、65歳未満「105万円以下」です。

給与収入がある方の場合、年収の目安は約100万円以下(所得が45万円)となります。

年金を受給されている方は、住民税非課税世帯に該当しやすい傾向にあります。なぜなら、年金収入のほうが、住民税が非課税となる年収基準が高いからです。

次は、住民税非課税世帯の割合を、年代別に見ていきます。

3. 年代別に見る「住民税非課税世帯」の割合

以下の表は、厚生労働省の「令和5年国民生活基礎調査」をもとにしたもので、住民税非課税世帯における〈年代別の割合〉を表しています。

住民税非課税世帯〈年代別の割合〉2/4

住民税非課税世帯の年代別割合

出所:厚生労働省「令和5年国民生活基礎調査」をもとにLIMO編集部作成

  • 30歳代:12.0%
  • 40歳代:10.0%
  • 50歳代:13.6%
  • 60歳代:21.7%
  • 70歳代:35.9%
  • 80歳代:52.5%
  • 65歳以上(再掲):38.1%
  • 75歳以上(再掲):49.1%

住民税非課税世帯は年代別で割合に差が生じていることがわかりました。

高齢になるほど住民税非課税世帯の割合が多くなる傾向にあり、65歳以上の世帯においては38.1%が住民税非課税世帯に該当しています。

なお、今回の10万円給付には「住民税均等割のみ課税となる世帯」も含まれます。

上記の表は住民税非課税世帯のみの割合を表していますが、「住民税の均等割のみ課税となる世帯」も含めるとより多くの世帯が10万円給付の対象となることが考えられます。

ただし「住民税非課税世帯」や「住民税均等割のみ課税となる世帯」の該当基準に、資産の保有状況は含まれていません。

貯蓄や資産がある世帯も「住民税非課税世帯」や「住民税均等割のみ課税となる世帯」に含まれている可能性があります。

次章では、年金生活世帯が多くを占めているであろう70歳代世帯の平均貯蓄額はいくらなのか、詳しくみていきます。

4. 70歳代の平均貯蓄額はいくらか【単身世帯・二人以上世帯】

以下の円グラフは、金融広報中央委員会による「令和5年 家計の金融行動に関する世論調査」をもとに、70歳代の単身世帯と二人以上の世帯の貯蓄額を表したものです。

4.1 70歳代の単身世帯の平均貯蓄額と貯蓄割合

  • 金融資産非保有:26.7%
  • 100万円未満:5.8%
  • 100~200万円未満:4.3%
  • 200~300万円未満:4.1%
  • 300~400万円未満:3.3%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.6%
  • 700~1000万円未満:5.1%
  • 1000~1500万円未満:8.6%
  • 1500~2000万円未満:5.3%
  • 2000~3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上:17.3%

平均と中央値

平均:1529万円
中央値:500万円

70歳代単身世帯の平均貯蓄額は1529万円ですが、平均額は一部の貯蓄が多い世帯に引き上げられている可能性もありますね。そこで、より実態に近いとされる貯蓄の中央値を見ると500万円にまで下がります。

4.2 70歳代の二人以上世帯の平均貯蓄額と貯蓄割合

次は、70歳代の〈二人以上世帯〉における平均貯蓄額を見ていきましょう。

  • 金融資産非保有:19.2%
  • 100万円未満:5.6%
  • 100~200万円未満:5.1%
  • 200~300万円未満:4.3%
  • 300~400万円未満:4.7%
  • 400~500万円未満:2.5%
  • 500~700万円未満:6.2%
  • 700~1000万円未満:5.8%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:7.4%
  • 3000万円以上:19.7%

平均:1757万円
中央値:700万円

70歳代は、単身世帯と二人以上世帯において、《貯蓄がある世帯》と《貯蓄がない世帯》で二極化しています。

具体的には、単身世帯の26.7%は貯蓄ゼロである一方、25.5%が貯蓄2000万円~3000万円以上を保有しています。

また、二人以上世帯では貯蓄ゼロ世帯の割合は19.2%。一方で貯蓄3000万円以上の世帯が19.7%存在します。

高齢者世帯において、他の年代と比べ住民税非課税世帯が多いが多い傾向にあります。しかし貯蓄額分布を見てみると、実際の資産状況は世帯によってさまざまであることも分かります。

5. 「人生100年時代」を豊かに過ごすために

政府による「10万円給付」は、住民税非課税世帯にとって大きな支援となりますが、それだけでは老後の生活資金を十分にカバーすることは難しいかもしれません。

現在、「人生100年時代」と言われるようになり、長寿化に伴い老後の支出が増え続けています。さらに、高齢化社会の進行により、介護費用の準備も必要です。

介護を必要とする高齢者の数が増加する一方で、介護を提供する人材の不足が深刻であり、これが介護費用の増加につながる懸念もあります。より質の高い介護サービスの提供や人材確保にはコストがかかり、その負担が個々人にも及ぶ可能性が高いです。

こうした背景から、老後資金をしっかりと準備するためには、金融資産を効率的に増やすことが不可欠です。銀行預金は安全性が高いものの、低金利が続く日本では資産を大きく増やすことは難しいのが現状です。

そのため、多くの人がNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)など、税制優遇制度を活用して資産運用を始めています。これらの制度を活用することで、少額からでも資産を効率的に増やすことが可能です。

老後や将来のライフプランを考え、必要な資金をしっかりと見積もることが重要です。この機会に、ライフプランを作成し、将来に備えた資産運用を始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料