2. 紙幣の流通量はどのくらい?

近年のキャッシュレス化によって、紙幣の流通量は変化しているのでしょうか。日本銀行の通貨流通高統計データから、紙幣の流通量の推移がわかるグラフを作成してみました。

【写真全4枚/1枚目】通貨流通高と日本銀行券発行高の推移。写真後半ではキャッシュレス決済と現金の利用状況を掲載。

【写真全4枚/1枚目】通貨流通高と日本銀行券発行高の推移。写真後半ではキャッシュレス決済と現金の利用状況を掲載。

出所:日本銀行「通貨流通高時系列データ」をもとに筆者作成

通貨流通高とは、市中に出回っている日本の通貨(紙幣と硬貨)の合計金額です。日本銀行券発行高とは、市中に出回っている紙幣の合計金額です

2010年から2023年までの変化をみてみると、2022年までは通貨流通高、日本銀行券発行高ともに右肩上がりに増えていますが、2023年から減少に転じています。

通貨流通高は129兆9228億円(2022年)から129兆3684億円(2023年)に、日本銀行券発行高は125兆683億円(2022年)から124兆6080億円(2023年)に減っています。このまま減少傾向が続くのでしょうか。

3. キャッシュレス決済比率はどのくらい?

一方で、キャッシュレス化はどのくらい進んでいるのか、経済産業省が算出したキャッシュレス決済比率をみてみましょう。

キャッシュレス決済額および比率の推移

キャッシュレス決済額および比率の推移

出所:経済産業省「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」

キャッシュレス決済比率は堅調に上昇しており、2023年は39.3%(126兆7億円)と4割に迫っています。

キャッシュレス決済の内訳をみてみると、クレジットカードが83.5%(105兆7億円)、デビットカードが2.9%(3兆7億円)、電子マネーが5.1%(6兆4億円)、コード決済が8.6%(10兆9億円)となっています。8割以上がクレジットカード決済であることと、コード決済の伸びが注目に値します。

政府は2019年6月の閣議決定において、「2025年6月までに、キャッシュレス決済比率を倍増し、4割程度とすることを目指す」との目標を掲げていましたが、2024年中に4割達成する公算が大きいでしょう。