1.1 どうして日本の年金制度は賦課方式を採用しているの?
年金制度の運営には「賦課方式」と「積立方式」の2通りの方法があります。このうち、日本の年金制度が採用しているのは賦課方式です。それぞれの違いは、以下のとおりです。
- 賦課方式:年金支給に必要な財源を、そのときの保険料収入から用意する方式
- 積立方式:将来自分が年金を受給するときに必要な財源を、現役時代の間に積み立てておく方式
日本の年金制度が賦課方式を採用しているのは、年金の価値を維持するためです。年金の実質価値は、物価や賃金といった経済状況に左右されます。そのため、同じ金額でも時代によって価値が目減りしてしまう可能性があるのです。
賦課方式はどの時代においても徴収した保険料を年金財源に充てます。そのときのお金の価値のまま年金として支給できるため、物価や賃金の変動に対応しやすく、価値が下がりにくくなります。
一方、積立方式の場合は自分で積み立てた金額とその運用益だけが年金原資となります。
そのため、経済状況によっては年金の価値が急落する可能性があります。年金価値が著しく下がってしまうと「老後の生活を支える」という年金本来の役割を果たせなくなってしまうのです。
安定した制度運営や平等な社会保障を実現するために、日本の年金制度は賦課方式を採用しているといえるでしょう。
では、年金を月15万円受け取っている人の割合について、次章で確認しましょう。