厚生労働省が公表した「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち公的年金や恩給だけで生活できる方は全体の41.7%となっています。
また、生活意識の状況についても「大変苦しい・やや苦しい」と回答した方の割合は全体の59.0%を占めています。
高齢者世帯の半数以上は年金だけで生活を送ることに対して厳しさを感じている実態となっており、この結果を見て老後の生活に対して不安を感じる現役世代の方も多いのではないでしょうか。
今回は年金受給額の状況について見ていきながら、老後の備えの必要性について考えていきたいと思います。
1. 年金収入だけで暮らすシニア世帯は半数以下
先ほども触れましたが、厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後、公的年金・恩給のみで生活できる高齢者世帯は全体の半数以下にとどまります。
そもそもの年金収入や支出は世帯によって異なります。中には「低年金ではあるが、事業所得や不労所得で豊かな暮らしを送れる世帯」も一定数含まれているかもしれません。
とはいえ、同調査(図13)では、生活が「大変苦しい」「やや苦しい」と回答した高齢者世帯は59.0%。前年調査より10.7ポイント上昇しています。公的年金の不足分を、勤労収入などでカバーしている世帯が多いことが推測できるでしょう。
そこで、公的年金のしくみや、今のシニア世代が受け取る受給額事情を眺めていきます。