高年齢者雇用安定法の改正により、2025年4月からは原則として、65歳までの希望者全員を対象として継続雇用が義務化されます。

背景には少子高齢化による労働人口の減少があげられますが、年金への不安で働き続ける方が多いのも実情です。

株式会社帝国データバンクが2024年10月31日に公表した「食品主要195社」価格改定動向調査によると、11月の食品値上げは282品目にものぼり、11カ月ぶりに前年を上回る勢いです。

このような物価高の現状において、どのようにリタイヤ後の生活を考えるべきなのでしょうか。

本記事では、老後資金に対する不安を抱えている方へ向けて、現役シニア世代の生活事情や、具体的な老後資金を準備する方法についてお伝えしていきます。

1. 無職2人以上世帯(65歳以上)平均貯蓄額・内訳

【写真1枚目/全4枚】無職2人以上世帯(65歳以上)における「平均貯蓄額の推移」。では「勤労世帯も含む平均貯蓄額」は?次の写真をチェック

65歳以上・無職夫婦世帯の平均貯蓄額

出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」

総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2023年(令和5年)平均結果-(二人以上の世帯)」をもとに、無職2人以上世帯(65歳以上)における「平均貯蓄額の推移」や「資産の内訳」を見ていきます。

2023年の無職夫婦世帯(65歳以上)の平均貯蓄額は2504万円です。65歳以上となると、定年退職金によっていっきに貯蓄額が引き上がった世帯、公的年金だけでは足りない部分を貯蓄の切り崩しでカバーしている世帯など、それぞれ異なる事情があるでしょう。

では、平均貯蓄額の推移についても見てみます。

1.1 平均貯蓄額の推移|2018年~2023年

  • 2018年:2233万円
  • 2019年:2218万円
  • 2020年:2292万円
  • 2021年:2342万円
  • 2022年:2359万円
  • 2023年:2504万円

2018年~2023年にかけて、無職2人以上世帯(65歳以上)の平均貯蓄額は271万円増加しています。

平均貯蓄額が増えた要因として、少子高齢化や物価高などにより「年金のみで老後を過ごすのは難しい」と考える方が増えた可能性も考えられますね。

また、2020年以降は、コロナ禍で財布のひもを締めなおしたり、各種給付金を貯蓄回したことにより、残高が増えたという世帯もあるでしょう。

では、現在のシニア世帯が保有する「資産の内訳」はどのようになっているのでしょうか。次章で詳しく見ていきます。