6.3 提出期限を過ぎたらどうなる?

提出しないと扶養控除などがない状態で所得税が源泉徴収されますが、提出期限が過ぎて提出しても過去に遡って所得控除が再計算されます。

つまり、余分に引かれた所得税が戻ってくるということです。

6.4 会社員の場合でも提出が必要?

会社員の場合、扶養親族等申告書を提出しないのが一般的です。会社員の多くは、勤務先で年末調整と同時に「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているからです。

扶養控除などの所得控除は1人に年1回しか適用されませんが、勤務先と日本年金機構の両方に提出すると所得控除を二重に受けることになります。

6.5 配偶者や扶養親族がいない場合は提出が必要?

配偶者や扶養親族がいない場合、扶養控除等申告書の申告は不要です。申告書を出しても所得控除が受けられないからです。

6.6 社会保険料は所得控除されないの?

年金から源泉徴収される所得税は、年金から社会保険料(国民健康保険料や介護保険料など)が天引きされている場合に限り、社会保険料控除後の年金額を基に計算します。

一方、給与から社会保険料を引かれている会社員や、年金からの社会保険料が引かれない65歳未満の人は、社会保険料控除が適用されない状態で所得税額が源泉徴収されます。

確定申告して払いすぎた所得税を還付してもらいましょう。

7. まとめにかえて

「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」は、年金から源泉徴収する所得税を計算するときに扶養控除などの所得控除を反映させるため提出が必要です。

確定申告しても所得控除は受けられますが、年金支給時の所得税は高くなります。

日本年金機構から扶養控除等申告書が送付されたら、必要事項を記入してすぐに提出しましょう。

ただし、会社員の人や提出しても所得控除を受けられない人は提出不要です。扶養控除等申告書が必要なケースを理解して、適切な対応を図りましょう。

参考資料

西岡 秀泰