3.2 夫婦片働き世帯の場合の年金額例
夫婦片働き世帯の場合の金額例は下記のとおりです。
- 夫が報酬54万9000円+妻が国民年金のみ加入:25万4104円
- 夫が報酬43万9000円+妻が国民年金のみ加入:23万483円
- 夫が報酬32万9000円+妻が国民年金のみ加入:20万6862円
- 妻が報酬37万4000円+夫が国民年金のみ加入:21万6617円
- 妻が報酬30万円+夫が国民年金のみ加入:20万494円
- 妻が報酬22万5000円+夫が国民年金のみ加入:18万4370円
片働き世帯の年金モデルでは、夫婦のどちらかが厚生年金に加入し、もう一方が国民年金のみに加入するケースとなっています。
片働き世帯の場合、最も高い年金額は月額25万4104円となっています。
一方で、最も低い年金額は月額18万4370円です。
前章で紹介した「夫婦世帯の平均支出25万959円」と比較すると、片働き世帯の多くのケースにおいて、年金だけでは平均的な消費支出を賄えない可能性があります。
上記をふまえ、老後の年金額を現役時から把握し、赤字分を早い段階から老後資金として備えておくことが大切です。
ご自身の世帯状況に近い夫婦のモデル年金を参考に、老後の収支シミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。
4. 「約46万円」の年金支給が多いとはいえない理由とは
本記事では、「公的年金の仕組み」と「2024年度の年金額例」を紹介していきました。
厚生労働省の公表した一般的な家庭の場合、2024年度の年金支給日に支給される年金額は「約46万円」となります。
46万円と聞くと「老後も安泰」と感じてしまいますが、この数字は必ずしも多いとは言えません。
年金支給日に支給される年金額は「夫婦2人分の2ヶ月分の金額」であるため、1人あたりの1ヶ月の年金額に換算すると約11万5000円となります。
さらに上記は「額面の金額」であり、実際の手取り額は税金や社会保険料が差し引かれるため、より少ないものとなります。
税金や社会保険料の天引き額は、年金収入や世帯状況によって異なりますが、額面の金額の10〜15%程度がひとつの目安です。
老後に受け取れる年金見込額を「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで確認する際は、額面の金額となっているため、手取り額に計算し直したうえで収支シミュレーションを行うことをおすすめします。
参考資料
- 厚生労働省「これまでの年金部会も踏まえてご議論いただきたい論点」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
太田 彩子