厚生労働省は、毎年11月30日(いいみらい)を「年金の日」、11月を「ねんきん月間」としています。
現役世代の人たちに「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の年金加入状況や将来の受給額を想定するなどして、老後に向けた準備を考えてもらう機会となることが主な目的です。
老後の生活を支える主な収入源として公的年金(国民年金・厚生年金)がありますが、年金収入だけで生活費をカバーするのは容易でありません。そのため、現役時代のうちに貯蓄をどのくらい準備できるか、が老後生活を迎えるにあたり重要になってきます。
また、この貯蓄ともう一つ大事なのが「支出」です。支出が収入を大きく上回ってしまうと、赤字分を補填するために貯蓄を取り崩すペースが早くなってしまうからです。
では現シニア世代は、収支のバランスはとれているのでしょうか。年金暮らしの実態を「貯蓄額・生活費・年金額」に関する調査資料をもとに確認していきます。
1. 【65歳以上年金世帯】無職二人以上世帯の「平均貯蓄額」を確認
総務省のデータによると、65歳以上の無職二人以上世帯の2023年の平均貯蓄額は「2504万円」です。
過去5年間の平均貯蓄額の推移は以下のとおりです。
1.1 「65歳以上の無職二人以上世帯」過去5年間の平均貯蓄額の推移
- 2018年:2233万円
- 2019年:2218万円
- 2020年:2292万円
- 2021年:2342万円
- 2022年:2359万円
- 2023年:2504万円
2018年から2020年の間は2200万円台を維持していましたが、2021年には2300万円台に増加し、2023年には2500万円を超えました。
年金制度の将来に対する不安を抱える人が多い中、貯蓄に対する意識が高まっているのかもしれません。
次に、65歳以上の無職二人以上世帯の銀行預金以外の資産の内訳を確認してみましょう。
1.2 「65歳以上の無職二人以上世帯」保有資産の内訳
- 有価証券:480万円
- 生命保険など:413万円
- 定期性預貯金:846万円
- 通貨性預貯金:754万円
- 金融機関外:11万円
保有資産の合計は2504万円となっています。
有価証券は480万円で、前年比で80万円の増加が見られ、増加幅が大きくなっている一方、定期性預貯金は846万円で、前年比で19万円減少しています。
近年では、NISAやiDeCoが普及し、預貯金から投資へのシフトが進んでいるのかもしれません。
次に、65歳以上の「働いている世帯も含めた」貯蓄額についても見ていきましょう。