老後の大きな収入源は「老齢年金」になりますが、自身が受け取れる年金額を把握しているという方は、多くありません。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金の平均月額は「5万6316円」、厚生年金の平均月額は「14万3973円」となっています。
これらの数字から、多くの人にとって「老後の収入」は「現役時の収入」と比べて大幅に減少することが予想されます。
しかし、上記の金額はあくまで平均額であり、個々の状況によって年金額は大きく異なります。
では、年齢によって年金額にどのような違いが生じるのでしょうか。
本記事では、60歳~90歳以上の老齢年金の平均受給額を1歳刻みで比較しています。
記事の後半では年金を増やす方法についても紹介しているので、老後の経済的安定のために、今からできる対策を一緒に考えていきましょう。
1. 【国民年金】60歳~90歳以上の平均受給額を1歳刻みで比較
まずは、60歳〜90歳以上の国民年金の平均受給額を確認していきましょう。
国民年金は、原則日本に住む20歳〜60歳未満の人全員が加入対象で、保険料は一律です。
国民年金のみ受給することになるのは、主に「フリーランス」や「自営業者」、「専業主婦」などです。
保険料が一律であるため、未納なく納付していれば満額受給が可能ですが、未納期間がある場合はその月数分が減額されます。
2024年度の国民年金の満額受給額は6万8000円です。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳〜90歳以上の国民年金の平均月額は下記のとおりです。
1.1 60〜69歳:国民年金の平均受給額
- 60歳:4万2616円
- 61歳:4万420円
- 62歳:4万2513円
- 63歳:4万3711円
- 64歳:4万4352円
- 65歳:5万8070円
- 66歳:5万8012円
- 67歳:5万7924円
- 68歳:5万7722円
- 69歳:5万7515円
1.2 70〜79歳:国民年金の平均受給額
- 70歳:5万7320円
- 71歳:5万7294円
- 72歳:5万7092円
- 73歳:5万6945円
- 74歳:5万6852円
- 75歳:5万6659円
- 76歳:5万6453円
- 77歳:5万6017円
- 78歳:5万5981円
- 79歳:5万5652円
1.3 80〜89歳:国民年金の平均受給額
- 80歳:5万5413円
- 81歳:5万5283円
- 82歳:5万7003円
- 83歳:5万6779円
- 84歳:5万6605円
- 85歳:5万6609円
- 86歳:5万6179円
- 87歳:5万6030円
- 88歳:5万5763円
- 89歳:5万5312円
1.4 90歳以上:国民年金の平均受給額
- 90歳以上:5万1974円
60〜64歳の間は平均受給額が4万円台となっており、他の年代よりも1万円以上も平均額が少なくなっています。
年金の受給開始年齢は原則65歳であり、65歳よりも前に繰上げて年金を受給すると、年金額が減額されてしまうことから、60〜64歳の平均受給額が他の年代よりも低くなっていると考えられます。
65歳以降からは5万8000円前後となっていますが、年齢が上がるにつれて緩やかに減少し始め、90歳以上の平均受給額は約5万1000円となります。
最も高額な国民年金の平均受給額は65歳の「5万8070円」ですが、老後の生活を補填するには十分な金額とは言えません。
では、厚生年金の平均受給額はどうでしょうか。
次章にて、厚生年金の60歳~90歳以上の平均受給額を比較していきましょう。
2. 【厚生年金】60歳~90歳以上の平均受給額を1歳刻みで比較
次に、60歳〜90歳以上の厚生年金の平均受給額を見ていきましょう。
厚生年金は主に会社員や公務員が加入対象で、国民年金に上乗せする形で支給されます。
つまり、国民年金と厚生年金の両方を受給できる人は、主に「会社員」や「公務員」などが対象です。
厚生年金の保険料は収入に応じて変動し、現役時代の収入や加入期間によって将来の受給額が決まります。
国民年金の満額受給額は毎年度決定されますが、厚生年金は収入が高いほど年金額も多くなる仕組みになっているのです。
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、60歳〜90歳以上の厚生年金の平均月額は下記のとおりです。
2.1 60〜69歳:厚生年金の平均受給額
- 60歳:9万4853円
- 61歳:9万1675円
- 62歳:6万1942円
- 63歳:6万4514円
- 64歳:7万9536円
- 65歳:14万3504円
- 66歳:14万6891円
- 67歳:14万5757円
- 68歳:14万3898円
- 69歳:14万1881円
2.2 70〜79歳:厚生年金の平均受給額
- 70歳:14万1350円
- 71歳:14万212円
- 72歳:14万2013円
- 73歳:14万5203円
- 74歳:14万4865円
- 75歳:14万4523円
- 76歳:14万4407円
- 77歳:14万6518円
- 78歳:14万7166円
- 79歳:14万8877円
2.3 80〜89歳:厚生年金の平均受給額
- 80歳:15万1109円
- 81歳:15万3337円
- 82歳:15万5885円
- 83歳:15万7324円
- 84歳:15万8939円
- 85歳:15万9289円
- 86歳:15万9900円
- 87歳:16万732円
- 88歳:16万535円
- 89歳:15万9453円
2.4 90歳以上:厚生年金の平均受給額
- 90歳以上:15万8753円
国民年金と比較すると、厚生年金は全体的に2〜3倍程度高い受給額になっています。
これは、「国民年金を含んだ年金額であること」と「年収や加入期間によって厚生年金額が増額すること」が理由として挙げられます。
一般的な受給開始年齢となる65歳以降の、厚生年金の平均受給額は「14万円前後」となっており、年代が上がるにつれて増加傾向となります。
最も高額な厚生年金の受給額は87歳の「16万732円」であり、経済成長や制度の変更、就労期間の違いなどが影響しているとうかがえます。
1歳刻みで老齢年金を確認すると、年代や年金の種類によって受給額にバラつきが生じていることがわかります。
ご自身の年金見込額を「より詳しく知りたい」という方は、「ねんきんネット」または「ねんきん定期便」を確認すると良いでしょう。
3. 年金を増やす方法はある?現役時・老後それぞれで解説
60歳〜90歳以上の平均受給額を確認して「少ない」と感じた方もいるのではないでしょうか。
老齢年金は老後の主要な収入源となるため、できるだけ多く受け取れることが望ましいです。
では最後に、老齢年金を増やす方法について、「現役時」と「老後」に分けて紹介します。
3.1 現役時にやっておきたい「年金を増やす方法」
厚生年金に加入している場合は、高い年収で長く働くことで、老後の年金を増やすことができます。
前述したように、厚生年金は現役時の年収と加入期間によって年金額が変わるため、高い年収で長い期間厚生年金に加入していれば、その分年金額をアップさせられます。
ただし、年収が高いほど現役時の保険料負担も増えるため、総合的なシミュレーションが重要です。
国民年金のみに加入している場合は、「国民年金基金」という制度を活用することをおすすめします。
国民年金基金とは、国民年金のみ受給の人が利用できる制度で、追加で保険料を納付することで老後の年金額を増額できます。
国民年金基金の対象者は、下記のとおりです。
- 国民年金の第1号被保険者の方
- 60歳以上65歳未満の方や海外居住者で国民年金に任意加入している方
現役時でも加入ができるほか、60歳以上65歳未満でも国民年金に任意加入していれば加入が可能なため、自営業者やフリーランスの方は加入の検討をおすすめします。
3.2 老後までに知っておきたい「年金を増やす方法」
次に、老後までに知っておきたい年金を増やす方法として「繰下げ受給」があります。
繰下げ受給とは、年金の受給開始年齢を遅らせることで「年金を増額できる制度」です。
1ヶ月年金受給開始年齢を遅らせるごとに0.7%ずつ増額していき、増額率は生涯変わりません。
たとえば、本来であれば受給額が月15万円だった場合、受給開始年齢を5年繰り下げることで、「月21万3000円」にまで年金額を増やせます。
この制度は、国民年金・厚生年金どちらにも適用できますが、税金や社会保険料、加給年金などにも影響を与える制度のため、現役の間に利用の検討をしておけると良いでしょう。
4. ご自身の受け取れる年金見込額を確認しておこう
本記事では、60歳~90歳以上の老齢年金の平均受給額を1歳刻みで比較していきました。
今回紹介した平均受給額は、「現在のシニア世代が受け取っている年金額」であり、将来も同水準の年金額を受け取れるかはわかりません。
実際に、国民年金・厚生年金それぞれ、65歳と90歳以上の平均受給額には差が生じていました。
上記をふまえ、将来ご自身が受け取れる年金見込額を「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」などで確認し、年金額を増やす制度を活用するといった老後に向けた準備をしておきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和6年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 全国国民年金基金「国民年金基金制度とは?」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
太田 彩子