3. 扶養内に留まるなら「週20時間の壁」を意識する
パートやアルバイトなど短時間労働者の時給は雇用契約によって定められており、頻繁に変わることはないと思うので、扶養内で働きたい場合は、所定労働時間を気にする必要があります。つまり「週20時間の壁」を意識しなければなりません。
所定労働時間が週20時間で月額8万8000円となる時給は約1015円です。東京都の「地域別最低賃金」は1113円(2023年10月1日発効)なので、東京で働いている人の多くはこの時給を超えていることになります。
つまり、週20時間以上働けば、大抵は月額8万8000円以上も満たすことになるので、労働時間をより気にした方がいいというわけです。別の見方をすれば、時給2000円の人が月間44時間働くと、月額8万8000円になりますが、週にすると10時間か11時間なので、所定労働時間の要件を満たさず、社会保険の適用とはなりません。
4. 労働時間を調整する場合の注意点
所定労働時間には、前出のとおり、残業などの臨時で発生した労働時間は含みません。そのため、残業によって20時間を超えても、所定労働時間が20時間未満であれば、適用要件には該当しないことになります。しかし、例外的に残業などで実労働時間(※)が2か月連続で週20時間以上となり、引き続き20時間以上の状態が続くと見込まれる場合には、3か月目から労働時間の要件を満たすことになり、そのほかの要件も満たしていれば、社会保険に加入する義務が発生します。
※実労働時間とは、休憩時間を除く労働者が実際に労働した時間。使用者の指揮命令に従い実際に労働している時間であり、残業などの所定外労働時間も含みます。
つまり、単発的な残業であれば問題ありませんが、残業が継続している場合は、それを含めて20時間以上と見なされる可能性があるので、扶養内に留まりたい場合は注意が必要です。