住民税非課税世帯は、経済的負担を軽減するための減免・軽減措置が受けられる可能性があります。

新たに住民税非課税世帯に該当すると、手続きの面でわからないことや知らないことが多く戸惑うかもしれません。

しかし、家計の安定を図るうえで受けられる減免措置を知っておくことは有意義です。

今回は、住民税非課税となった世帯が受けられる5つの減免制度について解説します。

1. 住民税非課税世帯の要件

住民税は「均等割」と「所得割」に分かれています。

世帯員全員が「住民税を課税されていない」という場合、その世帯は住民税非課税世帯となります。

なお、東京都23区における住民税非課税世帯の所得要件は以下のとおりです。

1.1 所得割・均等割とも非課税

  • 35万円✕(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下(同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合)
  • 45万円以下(同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合)

1.2 所得割が非課税

  • 35万円✕(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下(同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合)
  • 45万円以下(同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合)

自分が住民税非課税世帯に該当するか判断に迷う場合は、お住まいの自治体で確認してみてください。

住民税非課税世帯は、家計の負担を軽減するための減免措置が設けられています。次の章で詳しく解説します。

2. 住民税非課税世帯が受けられる減免措置・軽減措置とは

詳細は自治体によって異なりますが、代表的な減免措置・軽減措置を解説します。

2.1 国民健康保険料

国民健康保険は、自営業者やフリーランスなどが加入する公的医療保険です。

健康保険組合に加入している人や後期高齢者医療制度の対象となる人、生活保護を受けている人などを除くすべての人が国民健康保険に加入します。

国民健康保険料は均等割と所得割の2つで構成されており、前年の所得に応じて減免措置を受けることが可能です。

たとえば、東京都品川区では前年中の世帯主と加入者全員の所得金額の合計に応じて、3種類の減額措置が設けられています。

  • 7割減額:43万円+10万円✕(給与所得者等の数-1)以下
  • 5割減額:43万円+(加入者数×29万5000円)+10万円✕(給与所得者等の数-1)以下
  • 2割減額:43万円+(加入者数×54万5000円)+10万円✕(給与所得者等の数-1)以下

【写真全3枚中1枚目】品川区「保険料均等割額の減額制度」。2枚目以降、保険料免除・納付猶予の承認基準について解説1/3

品川区「保険料均等割額の減免制度」

出所:品川区「保険料均等割額の減額制度」

2.2 国民年金保険料

20歳以上60歳未満で、第二号被保険者と第三号被保険者のいずれにも該当しない方は、第一号被保険者に該当します。

以下のように、前年の所得に応じて保険料の減免を受けられるため、住民税非課税世帯は該当する可能性が高いです。年金事務所で相談してみるとよいでしょう。

保険料免除・納付猶予の承認基準2/3

保険料免除・納付猶予の承認基準

出所:日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」

  • 全額免除:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円
  • 4分の3免除:88万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 半額免除:128万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 4分の1免除:168万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等
  • 納付猶予制度:(扶養親族等の数+1)✕35万円+32万円

2.3 介護保険料

40歳以上の方は介護保険料を納付する必要がありますが、65歳未満の「第2号被保険者」は、前述の公的医療保険に上乗せして支払います。

65歳以上になると、第1号被保険者として介護保険料を単体で支払うこととなります。

自治体によって、65歳以上の保険料について軽減・減免があります。

たとえば品川区では、以下の条件に該当する場合は介護保険料の減額を受けられます。

  • 品川区介護保険の第1号被保険者であること
  • 介護保険料の段階が第3・4段階であること
  • 賦課期日現在の所属する世帯の前年の収入額の合計が、1人世帯で120万円(1人増えるごとに60万円を加算)以下であること
  • 資産(300万円以上の預貯金、居住用以外の土地・家屋)を持っていないこと
  • 当該年度の住民税が課税されている方と生計を共にしていないこと、および、区民税を課税されている方に扶養されていないこと

介護保険料の軽減制度3/3

介護保険料の軽減制度

出所:品川区「介護保険の対象と保険料」

2.4 医療費の自己負担

医療機関を受診したときや調剤してもらった薬を購入する際の自己負担額は、原則として3割です(年齢や所得によって異なります)。

さらに、1カ月あたりの医療費限度額に上限を設ける「高額療養費制度」によって、自己負担を抑えることができます。

この自己負担額は年齢や所得によって異なるのですが、住民税非課税世帯は低く設定されているのです。

2.5 子育て費

教育費に関しては、住民税非課税世帯に該当すると0歳から2歳児クラスまでの保育料が無料となります。

ほかにも、高等教育の修学支援新制度として住民税非課税世帯に対して授業料と入学金の減免が行われ、さらに給付型奨学金の支給額を増額する措置もあります。

3. 住民税非課税世帯でも10万円給付金の対象外となることがある

2024(令和6)年度に新しく住民税が非課税となる世帯は、10万円の給付金を受給できます。

世帯内に18歳以下の児童がいる場合は、児童1人あたり5万円が追加で給付されます。

しかし、以下に該当する場合は10万円給付の対象外です。

  • 2023年度に住民税非課税世帯給付金を受け取った世帯
  • 世帯を構成する全員が住民税の課税されているほかの親族の扶養に入っている世帯

たとえば、世帯全員がほかの親族から扶養を受けている場合は10万円を受給できません。

住民税非課税世帯に対する給付が行われる機会は今後もあると思われますが、条件が設けられています。

毎回必ず受け取れるわけではない点に留意しましょう。

4. まとめにかえて

住民税非課税世帯に該当すると、社会保険料や教育費などの減免措置・軽減措置を受けられる可能性があります。

家計の負担を軽減するうえで役立つため、行政の窓口で相談しましょう。

また、不定期ではあるものの給付金の支給対象となることもあります。自分が住民税非課税世帯に該当するかも含めて、利用できる公的サービスがないか確認してみてください。

参考資料

柴田 充輝