5. FP資格を持つファイナンシャルアドバイザーが提案する「老後資金の準備」

今回は今のシニア世代の「老後の生活」に関する意識調査の結果や年金受給額データについて触れた後、「年金生活者支援給付金」について解説しました。

半数以上が「生活が苦しい」と感じているという実情がある中、こうした各種給付金情報へのアンテナは高く持っていきたいものです。

老後の年金生活を支える貯蓄は、やはり現役時代からコツコツと準備していく必要があるでしょう。

とはいえ、「若いうちに定期的に旅行をしたい」「マイホーム計画を実現させたい」「それより先に、子どもたちに教育資金を何とかしなければ」など、それぞれの思いがあるでしょう。

ただ「老後のことは老後から考える」だと、手元に残った貯金と年金に頼っていく以外に手段は残されていません。できるだけ直近で使う予定のある資金と老後資金を明確に分け、早いうちから備えを両立していけるといいですね。

備えの方法としては、大きく2つあります。

1つ目は、銀行などの預貯金をコツコツと進めること。毎月のお給料から「先取り貯金」で強制的に貯蓄に回す仕組みを作っていくのも良いでしょう。

とはいえ、超低金利が続くいま、預貯金だけでは資産を増やすことには繋がりにくいです。またインフレリスクも気になります。

そこで2つめの方法として提案したいのが、少額からできる積立投資です。NISAのつみたて投資枠やiDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)の活用を検討するのも一案です。投資にはリスクがつきものですが、コツコツと時間をかけて運用していくことで、リスクの軽減にも繋がります。

最適な資産運用のスタイルは人それぞれ。この機会に、ご自身に合った方法を探してみてはいかがでしょうか。まずは情報収集から始めてみましょう。

6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説

年金に関する疑問

出所:厚生労働省、日本年金機構などの各種資料をもとにLIMO編集部作成

日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。

6.1 年金の主な種類と仕組みは?

日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。

6.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?

年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。

例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。

6.3 年金を増やす方法はあるのか?

年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。

また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。

さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。

参考資料