5. 「年金にだけ頼る老後は心もとない…」と感じたら
冒頭でも確認した通り、老後の生活において「全面的に公的年金に頼る」と答えた方は、70歳以上で最も多く43.2%、逆に18歳~29歳で最も少なく8.2%とありました。
NISA活用への意識の差を見ても、若い世代を中心に「年金にだけ頼る老後は心もとない…」という考え方が広がっていることが推測されます。
とはいえ「預貯金はコツコツ増やしているけれど、他にどのような方法で備えればよいのか分からない」と思っている方もいるでしょう。
筆者がご相談を受ける方からも「資産運用に興味はあるけど、自分に何が合うのか分からない」というお悩みの声を多く聞きます。預貯金とは異なり投資にはリスクがありますので、はじめの一歩を踏み出しにくいと感じている方も多いはずです。
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)や、2024年から新制度が始動したNISAといった税制優遇制度を活用してみるのも一案でしょう。
将来に向けてできることを少しずつ取り組んでいく姿勢が大切です。まずは情報収集からスタートしてみませんか。
6. 【ご参考】年金に関する疑問や不安を解消!よくある質問を解説
日本の公的年金制度は複雑で、多くの人がさまざまな疑問を抱えていることでしょう。ここでは、年金に関するよくある質問を取り上げ、その解答を解説します。
6.1 年金の主な種類と仕組みは?
日本の公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2階建て構造になっています。
国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての人が加入する基礎年金で、厚生年金は会社員や公務員が加入するものです。
国民年金は一定の保険料を納付し、将来の年金額が決まるのに対し、厚生年金は収入に応じた保険料を支払うため、将来の受給額にも差が出ます。
6.2 「繰下げ受給」とはどんな制度?
年金の受給開始年齢を遅らせることで、受給額が1カ月につき0.7%増える「繰下げ受給」があります。
例えば、65歳から受給を開始する予定を75歳0カ月まで繰り下げると、84%増額となります。これは、長期間働くことができる人や、他の収入源がある人にとって有利な選択肢となります。
6.3 年金を増やす方法はあるのか?
年金を増やす方法はいくつかあります。自営業やフリーランスの方は、国民年金の付加保険料を支払うことで、将来の受給額を増やせます。
また、厚生年金に加入する働き方に切り替えることも一つの方法です。
さらに、老後資金を増やすという意味では、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)などを利用して、自身で資産運用を行うのも選択肢です。ただし、運用にはリスクがあることに注意が必要です。
参考資料
- 首相官邸「岸田内閣総理大臣記者会見」(2024年6月21日)
- 厚生労働省「生活設計と年金に関する世論調査(主な調査結果)」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収」
- 国税庁「所得税及び復興特別所得税を計算してみよう」
- 厚生労働省「介護保険制度の概要」
- 厚生労働省「高齢期における年金制度」2023年10月24日
- 豊中市「公的年金からの特別徴収額が10月から急に高くなったのはなぜですか」
- 厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
荻野 樹