5. ゆとりある老後生活を過ごすには

今回は、いまどきのシニア世代が受け取る国民年金・厚生年金の平均年金月額を、年齢別(1歳刻み)と、男女別に見ていきました。ひとことで「年金」と言えど、実際に受け取る金額には個人差があります。

そして、世帯単位の年金収入も人それぞれ。シングル世帯か夫婦世帯か、夫婦世帯であれば共働きかどうかによっても変わります。そして何より、ライフスタイルや健康状態によって老後に必要とする金額は異なります。

そこで実際の年金受給額を確認すると「年金だけで老後を暮らせるのだろうか」と漠然とした不安を抱く人は少なくないでしょう。

さて、筆者が日ごろ資産運用のご相談を受ける中で、リタイア後の理想の生活のイメージをお伺いすると、多くの方から「ゆとりある老後生活を過ごしたい」という声を聞きます。

生命保険文化センターの「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」によると、ゆとりある老後生活費の平均は約37万9000円。これは「老後の最低日常生活費」と「老後のゆとりのための上乗せ額」を足したものです。

もちろん実際に必要となる金額は世帯によって異なりますが、公的年金「だけで」老後を過ごせる世帯は決して多数派ではないと言えそうです。

また、今回見てきた年金受給額はあくまで「いまどきシニア」の受給額。いまの現役世代が年金を受給するころまで。現在と同じ給付水準が続いているとは限りません。

さらなる長寿時代に老後を過ごす私たちにとって、働き盛りの現役時代から「自助努力」で資産づくりを進めていく視点が求められれていると言えそうです。

教育費や住宅ローンといったコアな出費が、常に家計を圧迫しているという世帯も少なくないでしょう。とはいえ、ゴール(老後)までの距離が長い若い世代ほど、時間を味方につけて、コツコツと資産づくりに取り組むことができます。

ポートフォリオに、預貯金・保険・資産運用をバランスよく取り入れながら、老後に向けた資産づくりを進めていけたら良いですね。iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)やNISAなどの税制優遇制度の活用を検討するのも一案です。

まずは情報収集からスタートしてみましょう。

参考資料

山本 大樹