4.3 70歳まで繰下げ受給した場合
最後に、70歳で繰下げ受給した場合を見ていきます。
70歳で繰下げ受給する場合、増額される割合は42%です。
このため、毎月受け取れる額は14万円✕(100%+42%)=19万8800円となります。
また、上記年金額を80歳まで受け取った場合の平均受給額は以下の通りです。
19万8800円✕12ヶ月✕10年間=2385万6000円
80歳まで生きることを前提に、通常通り受け取るケースと60歳で繰上げ受給する場合、70歳まで繰下げ受給する場合の年金総額をシミュレーションしました。
結果的に、60歳で繰上げ受給するケースが最も多くなることが分かりました。
しかし、平均寿命87歳である女性の場合、例えば90歳まで生きた場合には、受け取れる年金総額は以下のようになります。
- 60歳で繰上げ受給:10万6400円✕12ヶ月✕30年間=3830万4000円
- 65歳で通常通り受給:14万円✕12ヶ月✕25年=4200万円
- 70歳まで繰下げ受給:19万8800円✕12ヶ月✕20年間=4771万2000円
上記通り、長生きすればするほど、遅く繰下げ受給した方がお得になることが分かります。
5. まとめにかえて
老齢年金は原則として65歳から受け取ることができますが、早く受け取ることのできる繰上げ受給や、遅く受け取る繰下げ受給があります。
本記事では、繰上げ受給、繰下げ受給で受け取れる年金額の計算方法と、60歳、65歳、70歳から年金を受け取る場合の年齢別年金総額をシミュレーションしました。
本記事でご紹介したシミュレーションを、年金の受け取りを何歳から始めるかを判断する際の参考になさってみてください。
参考資料
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「令和6年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和4年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- 厚生労働省「 [年金制度の仕組みと考え方] 第3 公的年金制度の体系(被保険者、保険料)」
逆瀬川 勇造