2024年の最低賃金の目安は全国平均で1054円になる見込みです。
2023年と比べて50円の大幅引き上げであり、特に最低賃金に近い給料で働いている方にとっては大きな影響があるといえます。
一方で、最低賃金が引き上げられることにより、社会保険や税金の壁を突破してしまい、結果として手取り額が減ってしまう可能性がある点には十分注意しなければなりません。
本記事では、近年の最低賃金の推移や大幅に引き上げられる見込みとなった背景、また年収の壁を突破してしまうことで扶養から外れてしまうことを避ける方法などをご紹介します。
1. 2024年度の最低賃金は50円アップ?
ここ数年、最低賃金は以下のように増加しています。
<最低賃金額>
全国加重平均額(時間額)
- 2018年度:874円
- 2019年度:901円
- 2020年度:902円
- 2021年度:930円
- 2022年度:961円
また、2023年度の最低賃金は1004円となっており、さらに2024年度には1054円を目安に引き上げられる見込みとなっています。
1.1 最低賃金が上昇する要因とは
このように最低賃金はここ数年で大きく上昇してきていますが、こうした最低賃金の引き上げは「最低賃金を現状の情勢に合わせて最適なものとすること」が目的です。
「物価は上がっているのに賃金が上昇しない」状態が続くと、国民の生活が厳しくなることから、最低賃金を調整しているといえるでしょう。
なお、消費者物価指数の推移を見てみると、以下のようになっています。
なお、2024年7月の消費者物価指数の総合指数は2020年を基準に107.8となっており、さらに物価高が続いていると見ることができます。
また、最低賃金と物価、双方とも2022年頃から上昇していることが分かるでしょう。
2. 社会保険の扶養から外れない方法はある?
雇用されて働く人にとって、最低賃金の上昇は喜ばしいことです。
しかし、時給が上がったことにより社会保険の「年収106万円の壁」や「年収130万円の壁」を突破してしまい、結果として手取り額が減ってしまう方もいるかもしれません。
社会保険に加入することは悪いことばかりではありませんが、生活をよくするために最低賃金が上げられているのにも関わらず、社会保険に加入する必要が生じて手取りが減り、生活が苦しくなっては本末転倒です。
なお、2024年8月現在、パートやアルバイトの方などの社会保険の適用要件には、例として以下のようなものがあります。
- 勤め先の被保険者数の総数が常時101人以上
- 1週間の労働時間が20時間以上
- 2ヶ月を超える雇用の見込みがある
- 給料が月額8万8000円以上
このため、社会保険への加入を避けるためには以下のような対策を考える必要があるでしょう。
- 週の勤務時間を20時間未満に抑える
- 月額の給料を8万8000円以下に抑える
- フリーランスとして働く
なお、2024年10月以降は勤め先の被保険者数の総数が常時51人以上に変更される点に注意が必要です。
3. 税金の扶養から外れない方法
年収の壁は、社会保険以外にも所得税や住民税を計算する上での税金について考える必要があります。
まず、雇用されて給与所得を受け取る人は、年収が103万円を超えると所得税や住民税を納めなければなりません。
また、扶養親族であり、16歳以上がいる場合は、一定の条件を満たせば扶養控除を受けることができます。
この、扶養控除を受けるための条件も、上記と同じく給与所得者の場合で年収103万円までとなっています。
その他、配偶者控除を満額受けるためには年収103万円以下であること、配偶者特別控除を満額受けるためには年収150万円以下であることといったボーダーラインにも注意が必要です。
最低賃金が上昇することでこれらの控除適用条件から外れて、結果として手取り額が減ってしまうことにならないよう、受け取る給料の額を調整するといった対策を考えるとよいでしょう。
4. まとめにかえて
最低賃金の引き上げとその背景、また賃金引き上げにより考慮しなければならない年収の壁と、壁の突破を防ぐための対策などをご紹介しました。
最低賃金引き上げは喜ばしいことですが、扶養から外れることなどにより手取り額が減って生活が苦しくなってしまうといったことは避けなければなりません。
最低賃金の引き上げの前に、103万円、106万円、130万円、150万円などそれぞれの年収の壁の内容と対策について、本記事の内容を参考になさってください。


