3. 税金の扶養から外れない方法
年収の壁は、社会保険以外にも所得税や住民税を計算する上での税金について考える必要があります。
まず、雇用されて給与所得を受け取る人は、年収が103万円を超えると所得税や住民税を納めなければなりません。
また、扶養親族であり、16歳以上がいる場合は、一定の条件を満たせば扶養控除を受けることができます。
この、扶養控除を受けるための条件も、上記と同じく給与所得者の場合で年収103万円までとなっています。
その他、配偶者控除を満額受けるためには年収103万円以下であること、配偶者特別控除を満額受けるためには年収150万円以下であることといったボーダーラインにも注意が必要です。
最低賃金が上昇することでこれらの控除適用条件から外れて、結果として手取り額が減ってしまうことにならないよう、受け取る給料の額を調整するといった対策を考えるとよいでしょう。
4. まとめにかえて
最低賃金の引き上げとその背景、また賃金引き上げにより考慮しなければならない年収の壁と、壁の突破を防ぐための対策などをご紹介しました。
最低賃金引き上げは喜ばしいことですが、扶養から外れることなどにより手取り額が減って生活が苦しくなってしまうといったことは避けなければなりません。
最低賃金の引き上げの前に、103万円、106万円、130万円、150万円などそれぞれの年収の壁の内容と対策について、本記事の内容を参考になさってください。
参考資料
- 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
- 国税庁「No.1191 配偶者控除」
- 国税庁「No.1180 扶養控除」
- 厚生労働省「社会保険適用拡大対象となる事業所・従業員について」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2024年(令和6年)7月分(中旬速報値)」
- 総務省「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)12月分及び2023年(令和5年)平均」
- 厚生労働省「令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について」
- 厚生労働省「地域別最低賃金の全国一覧」
逆瀬川 勇造