「老後2000万円問題」という言葉がまだ記憶に新しい方もいるでしょう。2019年に金融庁のレポートにおいて「標準的な高齢夫婦世帯が老後30年間を過ごすには、年金以外に約2000万円の老後資金が必要である」という試算が公表されて話題となりました。

2024年現在、物価上昇や円安が私たちの生活に大きな影響を与えています。この先もインフレが継続した場合「2000万円では足りない」という声も聞こえますね。

7月26日総務省が発表した東京都区部の消費者物価指数は前年同月比で2.2%の上昇(※1)。前年を上回るのは35カ月連続です。

また、帝国データバンクの調査(※2)によると、8月の値上げは642品目。チョコレート・アイスの値上げが続き、秋には半年ぶりの値上げラッシュが起こるとの見通しも出ています。

止まらぬ物価上昇が世代を超えた家計を圧迫するこんにち。現役時代よりも少ない金額で家計のやりくりをする年金世代にとっては特に厳しい状況が続きます。

また、働き盛り世代の中には、日頃の家計管理や遠い将来へに向けた資産形成を、これまで以上に意識する人もいるでしょう。

今回は、老後に向けた資産づくりを行う上で大切な「年金」についてのお話です。

公的年金のしくみをおさらいした後、今の年金世代がの受給状況を厚生労働省の資料を基に確認。ひと月30万円の厚生年金を受け取る人の割合も見ていきます。

※1 総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 東京都区部 2024年(令和6年)7月分(中旬速報値)」(2024年7月26日)
※2 帝国データバンク「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2024年8月