昨年(2023年)の秋から、各地で例年以上に熊の被害が多発しています。筆者が住んでいる秋田県では、2023年のツキノワグマによる人身被害件数は全国1位(※1)。今年もすでに県内で8人の被害者が出ています(8月2日現在※2)。

【写真1枚目/全6枚】2023年度「クマの人身被害件数」秋田県がワースト1位に!アウトドアや帰省前に「熊対策」していますか?1/6

【写真1枚目/全6枚】2023年度「クマの人身被害件数」秋田県がワースト1位に!アウトドアや帰省前に「熊対策」していますか?

出所:環境省「クマ類の生息状況、被害状況等について」

幸い筆者は熊に遭遇したことはないものの、身近な場所で熊の痕跡や目撃情報をときどき見聞きしています。普段は熊出没の心配がない地域に住んでいる方でも、これからの時期、帰省やレジャーなどで熊の生息域に出かける方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、秋田県在住でアウトドア好きの筆者が、実際に見聞きした熊の被害や情報と、熊が出没する可能性がある地域に出かける際の対策をお伝えします。記事最後には、熊による農作物被害額の推移についても触れていきます。

※1:環境省「クマ類の生息状況、被害状況等について」
※2:美の国あきたネット ツキノワグマ情報「ツキノワグマによる人身被害状況」

1. 【熊被害】筆者が実際に見聞きした「熊被害&出没情報」

1.1 《熊被害》果樹園で収穫間近のリンゴが熊に食い荒らされる

リンゴを食べる熊(イメージ)2/6

リンゴを食べる熊

Stock for you/shutterstock.com

筆者が毎年秋に訪れる、おいしいリンゴを売っている果樹園では、昨年の収穫量が例年の5分の1ほどになってしまったそうです。

果樹園の管理者は「収穫間近のリンゴが熊に食い荒らされてしまった。木に登ってリンゴを取るから枝も折られて、収穫量が戻るまでに7年くらいかかりそう」と悲しそうに話していました。

また、小屋の中で作業していたところ、窓から熊を目撃して怖かったとも話していて、筆者も他人ごとではないと感じる話でした。

1.2 《熊出没?》自宅付近の農道に熊のものと思われるフン

筆者が住んでいる場所は、田畑が広がる自然豊かな地域。自宅周辺にはいくつか農道がありますが、そのうちの1カ所で大人の手のひらサイズのフンを発見しました。

熊のフンは、食べたものにより色や質感が異なりますが、臭くなく、食べたもののにおいがする(※3)のが特徴らしく…。筆者が見たフンもこの特徴に当てはまります。もともと熊が生息している地域ではありますが、改めて熊が身近にいることを実感しました。

※3 秋田県生活環境部自然保護課「秋田の身近な動物 ツキノワグマ クマを知り、被害を防ぐ」

1.3 《熊発見!》近所の公園で熊の目撃情報

3/6

Eli Sooker/shutterstock.com

Eli Sooker/shutterstock.com

筆者の家から徒歩10分ほどの場所にある大きな公園でも、たびたび熊の目撃情報が報告されています。大きな複合遊具や林の中を歩ける遊歩道がある公園で、天気のいい日は親子連れでにぎわいますが、あまり天気がよくない時は閑散としていて、野生動物の気配を感じます…。

筆者には就学前の子どもがいますが、この公園に行くときは「必ず親と一緒に行動する」「人が少なくなった時、暗くなってきた時は、熊が出るかもしれないから帰る」と約束しています。

2. アウトドアや帰省の前に「熊対策」できていますか?

熊の被害にあわないためには、熊と遭遇しないようにすることが一番の対策です。ここでは基本的な熊対策について簡単にお伝えしますが、詳細は環境省の「クマ類の出没対応マニュアルー改訂版―(※4)」などで確認してください。

※4 環境庁 野生鳥獣の保護及び管理「クマ類の出没対応マニュアル -改定版-」

2.1 出かける地域の熊出没情報を確認しておく

熊が生息している場所やその周辺に出かける際は、その地域の熊出没情報を確認してから出かけましょう。道路やレジャー施設でも、熊の被害が理由で立ち入り禁止になっているエリアがあります。現地では必ずその指示に従ってください。

自然豊かな地域では、熊をはじめとした野生動物と、車や公共交通機関が衝突する事故・遅延がよく起こります。不要な夜間外出を避け、車で移動する際は十分注意して運転しましょう。

2.2 複数人で音を出しながら行動する

4/6

Slatan/shutterstock.com

Slatan/shutterstock.com

ほとんどの熊は臆病で、人の気配を感じると熊の方から逃げていきます。このため、熊鈴などで音を出しながら、複数人でにぎやかに行動するのが効果的。

スマホで音を出すのもいいですが、山の中では電波が届かない場所もありますし、バッテリーが切れると緊急時の連絡手段がなくなるため、熊鈴やラジオがおすすめです。

筆者が住んでいる地域では、小学生はランドセルに熊鈴を付けて通学し、農作業や犬の散歩をしている人もラジオや熊鈴で音を出しながら行動しています。

なお、ごく一部の人を襲うことを覚えてしまった熊には、この対策が逆効果です。先述したように熊出没情報を必ず確認し、人を襲う熊の情報がある場所には立ち入らないでください。

2.3 食べ物のにおいを出さない

5/6

4045/shutterstock.com

4045/shutterstock.com

キャンプや登山等で山に入る際は、生ごみや食料を外に置いていると、熊を呼び寄せてしまいます。食事の後は食べ物のにおいが出ないように、生ごみや食料を密閉できる容器に入れてください。

キャンプ場などのレジャー施設では、生ごみや食料の捨て方、管理方法が決まっている場所もあるため、そのような場所では指示に従いましょう。

2.4 熊に出会ってしまったときの対応を学んでおく

様々な対策をしていても、熊に会ってしまう可能性はあります。熊と鉢合わせしてしまったら、目をそらさずに後ずさりして距離を取り、襲われそうになったら後頭部を手で押さえて伏せるのが基本の対応とされています(※4)。

お子さんと一緒に出掛ける際は、お子さんにもわかりやすく伝えておきましょう。

※4 環境庁 野生鳥獣の保護及び管理「クマ類の出没対応マニュアル -改定版-」

3. 【熊被害】熊による農作物の被害金額の推移

農林水産省「野生鳥獣による農作物被害状況の推移(※)」では、鳥獣ごとの農作物被害額・被害面積・被害量が公表されています。

これによると、2022年度の野生鳥獣による全国の農作物被害は約156億円(対前年度約+0.5億円)。うち熊による被害総額は約4億700万円でした。2011年度以降、2億円台後半~3億円台で推移していましたが、2019年度以降は4億円台が続いています。

※5 農林水産省「農作物被害状況」全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和4年度)参考3 野生鳥獣による農作物被害状況の推移

3.1 【熊被害】熊による全国の農作物被害金額の推移(農水省公表)

  • 1999 (平成11) 年度:約4億8900万円
  • 2000 (平成12) 年度:約10億5500万円
  • 2001 (平成13) 年度:約4億6400万円
  • 2002 (平成14) 年度:約3億800万円
  • 2003 (平成15) 年度:約3億2100万円
  • 2004 (平成16) 年度:約4億1000万円
  • 2005 (平成17) 年度:約3億1000万円
  • 2006 (平成18) 年度:約7億6400万円
  • 2007 (平成19) 年度:約3億3700万円
  • 2008 (平成20) 年度:約3億6300万円
  • 2009 (平成21) 年度:約3億3600万円
  • 2010 (平成22) 年度:約5億2800万円
  • 2011 (平成23) 年度:約3億3700万円
  • 2012 (平成24) 年度:約3億8800万円
  • 2013 (平成25) 年度:約2億7400万円
  • 2014 (平成26) 年度:約3億9100万円
  • 2015 (平成27) 年度:約3億円
  • 2016 (平成28) 年:約3億8700万円
  • 2017 (平成29) 年:約3億8900万円
  • 2018 (平成30) 年:約3億8300万円
  • 2019 (令和1) 年:約4億400万円
  • 2020 (令和2) 年:約4億6000万円
  • 2021 (令和3) 年:約4億3800万円
  • 2022 (令和4) 年:約4億700万円

4. まとめにかえて

筆者が実際に見聞きした熊の被害や情報と、熊が出没する可能性がある地域に出かける際の対策をお伝えし、最後に熊による農作物被害額データについても触れました。

秋田県では「いつでも・どこでも・誰でもクマに遭遇するリスクがある」として注意を呼び掛けています。

熊が生息する地域に出かける際は、熊出没情報を確認し、万全の対策と心構えで出かけましょう。

参考資料

鈴森 真樹